書籍
LE CANAL DE PANAMA · 1886
原題Le canal de Panama : l’isthme américain. Explorations ; comparaison des tracés étudiés ; négociations ; état des travaux
パナマ運河―アメリカ地峡
1886年刊 日本語全訳
フランスのパナマ運河計画を主導したリュシアン・N・B・ワイズが、アメリカ地峡の探検・測量結果、運河路線案の比較、コロンビアとの交渉、国際会議、会社設立および工事の現況をまとめた1886年刊の著作です。
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リュシアン・ナポレオン=ボナパルト・ワイズが、フランスによるパナマ運河計画の探検、測量、交渉、建設事業をまとめた1886年の著作です。地峡の諸経路を調べた自身の経験を中心に、地理的条件と国家間の取り決めを併せて説明しています。後年完成した運河の沿革ではなく、事業が進行していた時点で、提案された経路と方式にどのような根拠が与えられていたかを示す記録です。
前半では、コロンビアの地峡地域だけでなく、ニカラグアやコスタリカも含め、大洋間交通の候補地を比較します。海岸の堆積物、山地の岩石、河川、森林、港への進入条件を調べ、距離の短さと掘削の容易さが必ずしも一致しないことを論じます。現地を移動する際の困難や案内人との関係も現れ、地図上の経路が調査隊の実地経験によって修正されていく過程が読み取れます。
サン・ブラスやアトラト方面の調査では、長いトンネル、深い切通し、河口の浅瀬などが大きな問題になります。ニカラグア湖を利用する案についても、湖面の高さや太平洋へ抜ける地形を検討します。こうした比較から、海面と同じ高さで通す方式と、堰や閘門によって人工の中央湖を利用する方式が、異なる条件をもつ選択肢として浮かび上がります。
技術上の論点には、潮汐、河川水の処理、必要な掘削量、工事施設などが含まれます。スエズでの経験を参照しつつ、地峡固有の雨や地形をどう扱うかを考えます。同時に、コロンビア政府との交渉、1878年の特許、国際的な会議、会社の活動を記し、運河を掘る権利と建設を担う組織が成立する経緯を追います。条約や法令、書簡も、この説明を支える重要な材料です。
著者は計画の当事者として、その経路選択と事業の意義を積極的に弁護しています。そのため将来の費用や成果に関する見通しは、当時の期待と利害を含む主張として読むことができます。地質や水理の観察、外交文書、建設状況の報告を結びつけた本書からは、フランスの運河事業が自然条件、資金、国家主権を同時に解決すべき課題として抱えていた姿が具体的に見えてきます。
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- 原刊
- パリ、Librairie Hachette et Cie、1886年
- 翻訳版
- 325頁
- 図版・挿図
- 89点
- 原刊言語
- フランス語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Lucien N. B. Wyse, Le canal de Panama : l’isthme américain. Explorations ; comparaison des tracés étudiés ; négociations ; état des travaux, Paris: Librairie Hachette et Cie, 1886.
- 権利・利用条件
- 1886年刊の原著はパブリックドメインです。公開元はGoogle Books、所蔵機関はBibliothèque municipale de Lyonです。底本PDFに掲げられたGoogle Booksの利用条件は、非商用・個人利用、自動リクエストの禁止、Google帰属表示の保持および利用地法令への準拠を求めるもので、オープンライセンスではありません。リヨン市立図書館は出版掲載について事前許可と「cliché Bibliothèque municipale de Lyon, cote 1G 538/66」の表示を求めています。
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