書籍
THE WAR IN NICARAGUA · 1860
原題The War in Nicaragua
ニカラグア戦争
ウィリアム・ウォーカーによる同時代回想録・1860年刊 日本語全訳
ウィリアム・ウォーカーが、1855–1857年のニカラグア遠征・政権・戦争を自らの立場から叙述した1860年刊の回想録です。革命、グラナダ占領、コスタリカ軍との戦闘、奴隷制復活令、リバス防衛と降伏までを全12章で記録し、原注、著者肖像、折込彩色地図、出版社広告を収録しています。
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ウィリアム・ウォーカーが、自ら率いたニカラグアでの軍事行動と政権の興亡を叙述した一八六〇年刊の著作です。ヴェスタ号での渡航から、リバス、ヴァージン湾、グラナダの戦闘、リバス政権との協力と決裂、自身の統治、中央アメリカ諸国の同盟軍との戦争へ進みます。冒頭で戦友の名誉を守ることを宣言しており、経過の記録と遠征を正当化する弁論が密接に結び付いています。
初期の叙述では、ニカラグアの内戦と米国人の軍事的援助を求める動きが、遠征の契機として説明されます。資金と人員の確保、現地勢力との契約、攻撃の時機をめぐる判断を追い、少数の部隊が政治的な影響力を得ていく過程を描きます。ニカラグア湖やオメテペの景観を印象的に語る場面もあり、戦闘の準備と新しい土地を見た兵士たちの驚きが並行して記されています。
戦闘記事では、街路、広場、教会、家屋、防柵などの位置と、各部隊の移動、火砲や狙撃の効果を詳しく説明します。将校の能力や勇気、規律の不足、命令への対応に対する評価も多く、戦果と失敗を特定の判断に結び付けようとします。負傷者を収容する病院、補充兵、食糧、病気の流行にも言及し、軍隊の維持が戦場での勝利だけでは成り立たないことを伝えます。
大西洋と太平洋を結ぶトランジット路と、その運営会社は重要な要素です。蒸気船、河川の拠点、港の施設、会社に雇われた米国人の動員などが、軍事と商業をつなぎます。後半ではグラナダからの撤退、サン・フアン川での作戦、リバスの防衛を追い、交通路を失うことが政権の存続に及ぼす影響が浮かびます。同盟軍の損害や兵力については著者の推計が含まれます。
ウォーカーは自軍の行動を秩序と社会の再生に結び付け、対立者の判断を厳しく批判します。人種や労働能力を序列化する言説も、こうした政治的な自己正当化と切り離せません。本書は双方の立場を均等に伝える戦史ではなく、当事者が敗北の経験をどう説明し、仲間の功績と自らの事業をどう記憶させようとしたかを示す一次資料です。軍事的な細部と著者の主張を合わせて読むことで、その特徴が明らかになります。
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- 原刊
- モービル/ニューヨーク、S. H. Goetzel & Co.、1860年
- 翻訳版
- 314頁
- 著者肖像・折込彩色地図
- 2点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- William Walker, The War in Nicaragua, Mobile and New York: S. H. Goetzel & Co., 1860.
- 権利・利用条件
- 1860年刊の原著本文・原刊図版はパブリックドメインです。Brandeis University Libraries所蔵本はInternet Archiveから公開されています。当該Internet Archive項目に個別のCreative Commons等のライセンス表示はなく、利用には同館の利用規約が適用されます。Project Gutenberg eBook no. 76898は米国でパブリックドメインとして公開されています。
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