書籍
A NEW VOYAGE AND DESCRIPTION OF THE ISTHMUS OF AMERICA · 1699
原題A New Voyage and Description of the Isthmus of America
アメリカ地峡新航海記・地誌
ダリエン滞在、先住民社会、自然誌、南海航海・1699年初版 日本語全訳
私掠船航海の途上でダリエン地峡に取り残されたライオネル・ウェイファーが、現地での滞在、先住民社会の風俗・言語・医療、地形、動植物、南海航海を記した1699年初版の日本語全訳。原刊標題紙、献辞、読者序、正誤表、本文、索引、巻末書籍広告、折込地図と銅版図を収録しています。
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ライオネル・ウェイファーが、私掠船航海の途中でダリエン地峡に残され、現地の人々と過ごした経験を記した1699年刊の航海記・地誌です。旅の出来事をたどる叙述と、地峡の自然、先住民の生活、言語、医療を主題別に記す部分を組み合わせています。ヨーロッパ人の移動を語る冒険の記録であると同時に、滞在を通じて得た生活技術や身体に関する観察を残す資料でもあります。
旅の場面では、川や海を渡るための船、筏、食糧、天候が行動を左右します。竹の筏が予想に反して水を吸って沈む話は、自然を利用する工夫と、その失敗を具体的に伝えます。湾口の島やマングローブに覆われた低地を記す箇所では、地形が美しい景観としてだけでなく、上陸や移動の可否を決める条件として描かれます。南海での航海も含め、地峡と周囲の海を一続きの移動空間として読むことができます。
自然誌の部分は樹木、果実、獣、爬虫類、魚などを扱い、食用になるものと危険をもたらすものの両方へ注意を向けます。木から落ちる雨滴で仲間が重い皮膚障害を負ったという経験談のように、知識はしばしば実際の遭遇と結びついています。自分が見聞きした範囲と、それ以外にも存在するはずだと考える生物を区別する記述もあり、観察の広さと限界が同時に示されます。
先住民社会については、衣服、住居、食物、技術、習慣、言語、治療が紹介されます。綿布を用途に合わせた大きさで織り、裁断しないという説明では、経糸と緯糸の扱い、道具、織り目を詰める作業まで記されます。瀉血法を扱う図と記述も、現地の医療を具体的な手順として捉えようとする関心を示します。異文化の風俗を列挙するだけでなく、暮らしを成り立たせる技術へ踏み込んでいる点が特色です。
一方、住民の分類や評価には17世紀末のヨーロッパ人の認識が反映され、見たこと、聞いたこと、著者の推測は同じ確度ではありません。私掠航海に関わる立場も、誰と接触し何を知り得たかを形づくっています。旅の困難と主題別の観察を読み合わせると、ウェイファーが現地の助けや知識に依存しながら、地峡の世界を英国の読者へ説明していく過程が見えてきます。
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- 原刊
- ロンドン、1699年
- 翻訳版
- 134頁
- 図版・挿図
- 4点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Lionel Wafer『A New Voyage and Description of the Isthmus of America』(London: Printed for James Knapton、1699年初版)。
- 権利・利用条件
- 1699年原刊と1903年覆刻本はパブリックドメインです。Wikimedia Commonsの1699年版資料ページはPublic Domain Mark 1.0を表示しています。
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