メキシコ年代記の表紙

書籍

CRÓNICA MEXICANA · KRAUS MS 117

原題Crónica mexicana

メキシコ年代記

クラウス117写本 f.1r–160v・全111章(第4章欠葉) 日本語全訳

Fernando Alvarado Tezozomoc [attributed]伝エルナンド・アルバラード・テソソモク

メシカ人のアストラン出立、メキシコ=テノチティトラン建設、周辺諸国との戦争と征服、モクテスマ2世の治世、スペイン人到来までを叙述する植民地期の年代記。クラウス117写本の章順、章題、葉標、欠葉、抹消、欄外書入れ、指示手などを保持し、写本 f.1r–160vから全訳しています。度量衡語彙は写本画像へ独自に再照合し、braça 32例を「ブラサ」に統一するなど、写本に即して校訂しました。写本見出し111件はファンコート母版の改ページ指定に従い、すべてページ冒頭から開始します。

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エルナンド・アルバラード・テソソモクの『メキシコ年代記』は、メシカ人のアストラン出立からテノチティトランの成立、周辺諸国との戦争、王権の拡大、モクテスマ二世とスペイン人到来までを語ります。移動と建国の物語に、使節の演説、軍議、貢納、褒賞、即位と葬儀を重ね、メシカの支配がどのように説明され、記憶されたかを示す植民地期の年代記です。

ウィツィロポチトリやマリナルショチに関する語りは、人々の移動を神格と集団の関係として描きます。支配の拡大に伴い、トラカエレル、王、諸侯、使者の言葉が大きな役割を持つようになります。要求を伝え、拒否や敵対に対応する長い演説は、単なる戦闘の記録を超え、誰がどの権威で行動するのかを示す装置となっています。外交と軍事は連続した活動として語られます。

征服の成果は、領土だけでなく、貢納品と捕虜、戦士の地位を通して示されます。衣服を褒賞として与える場面、王家を養うトウモロコシと豆の穀倉、球技の道具などの記述から、政治と物資の流れの関係が見えてきます。征服地の特産物を列挙する言葉や、遠征のための食料の準備もあり、大きな軍事活動を支えた供給と配分が具体的に表されています。

トラテロルコとの関係、チャルコやワステカ方面への戦い、アウィツォトルらの遠征に続き、王の死と葬礼、継承の儀礼が描かれます。諸侯が死者に敬意を表し、新しい王の衣装や冠を整える場面は、支配の継続を可視化します。後半では、モクテスマが自らの彫像を見て涙を流す場面や、到来する人々を示す絵に恐れを抱く場面があり、王権の不安が物語の調子を変えていきます。

本文の数字、予兆、神の命令、人物の言葉は、年代記が構成する歴史の一部であり、そのまま同時代の逐語的記録ではありません。メシカ王統を中心にした視点と、植民地で書き留められたという条件を踏まえる必要があります。本書は、戦争と儀礼、都市の豊かさ、他国との交渉を一緒に読むことで、メシカの政治文化と、その過去を後世へ伝える語りの方法を具体的に検討できる著作です。

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原刊
メキシコ、1600年頃、クラウス117写本(未刊)
翻訳版
513頁
図版・挿図
0点
原刊言語
スペイン語・ナワトル語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Fernando Alvarado Tezozomoc [attributed]『La corónica Mexicana』、Hans Peter Kraus Collection、mss31013-11700、Library of Congress、メキシコ、1600年頃。
権利・利用条件
原著本文はパブリックドメインです。アメリカ議会図書館は当該写本について、利用・複製に既知の制限なしと表示しています。
公開日
更新日

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