ヌエバ・エスパーニャ諸インディア史の表紙

書籍

HISTORIA DE LAS INDIAS · BNE VITR/26/11

原題Historia de las Indias de Nueva España e islas de la tierra firme

ヌエバ・エスパーニャ諸インディア史

BNE Vitr/26/11 自筆稿・全三部・図版117点 日本語全訳

Diego Duránディエゴ・デュラン

ディエゴ・デュランがメシカの起源、移住、諸都市との戦争と支配、神々、祭祀、暦法を記した自筆稿の日本語全訳です。BNE Vitr/26/11の葉順、章配置、段落、図像位置に従い、『ヌエバ・エスパーニャ諸インディア史』『儀礼と祭式の書』『古暦』の全三部を収録しています。全117図は人物・器物・文字・名標・彩色枠を欠かさない矩形の全図として収録しました。

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ディエゴ・デュランがメシカの歴史、神々と祭祀、暦を記した三部からなる著作です。移住と都市の形成、歴代の支配者、周辺都市との戦争、領土と貢納の拡大、スペイン人の到来を扱う歴史叙述に、宗教生活と一年の行事を説明する部分が続きます。政治史、儀礼、時間の数え方を併せて読むことで、征服以前の社会がどのように秩序づけられていたと著者が理解したかを把握できます。

歴史の部分では、メシカが他集団との緊張のなかで移動し、勢力を築く経過を描きます。イツコアトルやトラカエレルらをめぐる叙述では、戦争の勝利が貴族の称号、土地の分配、建築事業へ結びつきます。コヨアカン、ソチミルコ、ミチョアカン、テワンテペク方面などとの関係も取り上げ、勢力拡大を一直線の成功としてではなく、反乱、敗北、再度の戦争を含む過程として語っています。

王への助言や諸都市の返答など、長い発言が物語の重要な位置を占めます。王は住民を養い守る存在とされ、都市の庇護、貧者や孤児への責任が比喩を用いて表現されます。神殿建築に必要な石材、石灰、木材を諸都市が供給する場面は、政治的服属が労働と資材の動員へ変わる仕組みを示します。一方、モクテスマの不安、前兆、コルテスとの関係を通じ、征服へ向かう歴史にも独特の意味づけを与えています。

『儀礼と祭式の書』は神々の像、神殿、祭司の序列、供物や供犠、火山と山々への祭りなどを記します。『古暦』では祭礼、播種と収穫、子供の誕生日と運勢が、暦の区分に従って説明されます。宗教は個人の信仰だけでなく、農作業や政治、共同体の定期的な活動を整えるものとして現れます。図像も人物や器物、名標を伝え、文章とは異なる形で社会と儀礼を具体化しています。

ただしデュランはキリスト教聖職者であり、先住民の儀礼を「偶像崇拝」とみなす立場から記述しています。詳細な知識の収集と異教への批判が同居し、神話、伝承、発言の再構成、著者の解釈を区別して読む必要があります。本書はメシカ自身の歴史認識へ近づく重要な窓であると同時に、その知識が征服後の宗教的な枠組みのなかで保存され、説明された過程を示す著作です。

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原刊
ヌエバ・エスパーニャ、1570–1581年成立、BNE Vitr/26/11 自筆稿
翻訳版
913頁
図版・挿図
117点
原刊言語
スペイン語・ナワトル語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Diego Durán『Historia de las Indias de Nueva España e islas de la tierra firme』、Biblioteca Nacional de España、Vitr/26/11、自筆稿(『儀礼と祭式の書』1570年、『古暦』1579年、『ヌエバ・エスパーニャ諸インディア史』1581年)。
権利・利用条件
16世紀成立の原著はパブリックドメインです。BNEは、同館が公開するパブリックドメイン資料の画像を、クリエイティブ・コモンズ表示4.0国際(CC BY 4.0)または同等の条件で、出典表示のうえ再利用できると案内しています。本版の各図版にはスペイン国立図書館(BNE)Vitr/26/11所蔵と表示しています。
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