メシコの歌謡の表紙

書籍

CANTARES MEXICANOS · MS. 1628 BIS

原題Cantares Mexicanos

メシコの歌謡

Biblioteca Nacional de México Ms. 1628 bis f. 1r–85r・全92歌日本語全訳

Autores múltiples; compilador anónimo作者複数・編者未詳

複合写本『Cantares Mexicanos』の歌謡集部分、f. 1r–85rの全92歌・第1節から第1719節までを収める日本語全訳です。歌題、部立て、演奏指示、反復、歌唱音節、ラテン語句、固有名、節番号を保持し、全169葉面の位置標識を付しました。写本のf. 85v以降に続く非歌謡諸篇は本書の範囲外です。

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『メシコの歌謡』は、複合写本『Cantares Mexicanos』の歌謡部分に収められた九十二歌を対象とする作品集です。春の歌、花の歌、悲しみの歌、諸侯を歓ばせる歌、戦に関わる歌など、多様な題と様式のもとに歌が集められています。宮殿、都市、統治者の名を伴う詩句と、歌い手の声、反復、太鼓の調べに関わる表現が重なり、文字による詩と演じられる歌の両方の性格を持っています。

中心的なイメージは、花、鳥、羽毛、翡翠、トルコ石、首飾り、楽器です。美しい歌が花や宝石にたとえられる一方、花が萎れるように人も地上に短くとどまり、やがて去るという思いが繰り返されます。歓びと悲しみは対立するだけでなく、友と歌を分かち合える時間の短さによって結び付けられます。生のはかなさを語る声は、個人の感慨にも、共同の場で交わす呼びかけにもなっています。

諸侯の名声と記憶も重要です。ネサワルコヨトル、アシャヤカトルなどの名、メシコ、アコルワカン、ウェショツィンコなどの地域名が現れ、歌は政治的な世界と離れていません。征服した土地を挙げる箇所や、戦で高められることへの勧告、亡き者を求める嘆きは、武勇、支配、喪失をそれぞれ異なる声で示します。固有名を含むからといって、そのまま一人の作者の自伝として読むことはできません。

また、聖フランシスコ、修道院長、唯一の神、ラテン語の句など、キリスト教に関わる要素も含まれます。先住民の歌の形式と植民地期の宗教的な表現が同じ集成に存在するため、全篇を征服以前の文化がそのまま残ったものとみなすのは適切ではありません。古い諸侯の記憶と新しい信仰の語彙がどのように併存するかは、この写本を読む大きな論点です。

歌唱音節や繰り返し、演奏を示す指示は、通常の散文の意味へ還元できない声の層を伝えます。同じ花や鳥の像でも、前後の呼びかけと反復によって響きが変わります。収録範囲は写本の歌謡部分であり、その後に続く非歌謡の諸篇は含みません。各歌を独立した作品として味わうと同時に、様式、地域、宗教的な言葉の違いを横断して読むことで、記憶と歌唱が結ばれた豊かな表現世界に触れられます。

歌謡集写本一次史料メキシコヌエバ・エスパーニャ中央メキシコナワトル語スペイン語ラテン語歌謡メシカテノチティトラン16世紀Ms. 1628 bis

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原刊
16世紀後半成立。写本の転写年記は1597年と解される。
翻訳版
309頁
図版・挿図
0点
原刊言語
ナワトル語・スペイン語・ラテン語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Cantares Mexicanos, Biblioteca Nacional de México, Ms. 1628 bis, f. 1r–85r。Antonio Peñafiel (ed.), Cantares en idioma mexicano(1904)およびUNAM校訂版(2016)を照合。
権利・利用条件
原写本本文とPeñafielの1904年刊本はパブリックドメインです。UNAM版は公開表示の条件に従い照合に用い、頁画像、現代スペイン語訳、注釈を転載していません。現代の校訂・注釈の権利は各権利者に留保されます。
公開日
更新日

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