書籍
WAIKNA · 1855
原題Waikna; or, Adventures on the Mosquito Shore
ワイクナ――モスキート海岸での冒険
サミュエル・A・バード名義・1855年刊 日本語全訳
スクワイアがサミュエル・A・バード名義で刊行した、モスキート海岸の旅行・民族誌です。ブルーフィールズからラグーン群、グラシアス・ア・ディオス岬、ワンクス川、ポヤー地域へ進む旅を軸に、自然環境、先住民社会、交易、歴史資料と語彙を記録しています。
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スクワイアがサミュエル・A・バード名義で刊行した、モスキート海岸の旅行と民族誌を組み合わせる冒険記です。ジャマイカからの航海と難破を入口に、ブルーフィールズ、沿岸の潟湖、グラシアス・ア・ディオス岬、ワンクス川、ポヤーの地域へと旅を進めます。危機や出会いを会話と場面描写で展開する読み物でありながら、自然、食物、舟、集落、儀礼、交易、歴史、言語の情報が随所に組み込まれています。
海岸と潟湖の旅では、カヌーを陸越えさせる作業、河口の砂州、増水、長雨、夜の航行、熱病などが繰り返し現れます。海亀、マナティー、バク、魚、水鳥、植物の記述は、狩猟や漁撈、調理、道具、獲物の分配と結びついています。単に珍しい動物を観察するのでなく、旅人と住民がそれらをどう利用し、環境のなかで暮らすかを描くため、自然誌と生活誌が連続する構成です。同行者の知識と判断が危機を切り抜ける鍵となる場面も多くあります。
住民についてはラマ、ウールワ、トワカ、モスキート、サンボなどを区別し、応接、親族関係、婚姻、葬儀、治療、王の権威を扱います。ブルーフィールズのモスキート王とイギリスの関係を描く部分には風刺が入り、旅行の印象が政治批判へつながります。後半の歴史資料では、木材伐採の許可と領土主権を区別し、イギリスが条約上の権限を越えて支配を広げたと論じます。沿岸の冒険は、中央アメリカをめぐる国際関係と切り離されていません。
語彙と文法の記述は、言語の違いを住民集団の関係を考える材料にします。ただし、その分類や言語能力への評価、人種と性格を結びつける説明は著者の時代の見方です。また、物語的な場面や人物の台詞を、記録されたままの観察日誌と同じには扱えません。民族誌的な情報、歴史論争、冒険文学の演出が重なっている点を踏まえて読むことが重要です。本書はモスキート海岸を港や外交の対象だけでなく、複数の社会と水路がつながる生活の空間として描きます。潟湖を進む経験と、支配をめぐる主張を併せて読むことで、十九世紀半ばの海岸地域が外国人の知識と想像のなかへどう位置づけられたかを検討できます。
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- 原刊
- ニューヨーク、Harper & Brothers、1855年
- 翻訳版
- 285頁
- 図版・挿図
- 57点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Samuel A. Bard [pseudonym of E. G. Squier], Waikna; or, Adventures on the Mosquito Shore, New York: Harper & Brothers, 1855.
- 権利・利用条件
- 1855年刊の原著本文・図版はパブリックドメインです。Library of Congressは、このコレクションの文書について米国著作権その他の制限を認識していないと表示しています。クレジット表記は「Library of Congress, Rare Book and Special Collections Division」です。
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