西インド諸島年代史の表紙

書籍

CHRONOLOGICAL HISTORY OF THE WEST INDIES · 1827

原題Chronological History of the West Indies

西インド諸島年代史

1827年初版・全3巻・前付、本文、原注、付録 日本語全訳

Thomas Southeyトーマス・サウジー

1492年のコロンブス航海から1816年まで、西インド諸島と周辺海域の出来事を年代順に編んだ1827年刊全3巻の歴史書。スペイン・イギリス・フランス・オランダなどの植民地支配、海賊・私掠、戦争、奴隷制と奴隷貿易、ハイチ革命、各島の政治・社会・交易を記録しています。全3巻の前付、本文、原注249件、表63点、原刊図像6点、第3巻付録を省略なく訳し、各巻の原刊頁標識を保持しています。

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トマス・サウジーの『西インド諸島年代史』全3巻のうち、コロンブスの航海から始まる初期の歴史を扱う第1巻です。島ごとに完結した叙述を置くのではなく、同じ年代に各地で起きた出来事を並べ、スペイン人の進出から、複数のヨーロッパ勢力が島々へ入り込む時代までをたどります。異なる国家に属し、相互の結びつきも一様でない諸島を記述するには年代順が適切だという、編者の構想が冒頭で説明されます。

前半では、航海、地名の命名、港や島の認識、コロンブスと王室との関係が重要な柱となります。国王夫妻の書簡や、拘束されて帰還したコロンブスの訴えも収められ、探検の成功だけでなく、統治、告発、名誉回復をめぐる対立が見えます。征服された土地の食物、酒、農産物についての記述もあり、ヨーロッパ人が現地の生活をどのように観察し、既知の言葉で説明したかを読むことができます。

植民地が成立していく過程では、土地の授与と居住義務、総督の命令、先住民との交渉や衝突、航海者の移動が積み重ねられます。後の部分ではフランス人などによる占拠、島の支配者をめぐる争い、トルトゥーガの動向が現れ、海域全体が多国間の競争の場へ変わる様子が示されます。人質や捕虜、奴隷の返還をめぐる記事は、条約や戦争の背後にある強制と暴力を具体的に伝えます。

サウジーは既刊の航海記や歴史書、公式文書を引き、典拠を示しています。そのため本書は単一の現地体験記ではなく、異なる著者の証言を年代の枠へ集めた歴史編纂です。引用された話の視点や信頼度は均一ではなく、先住民の名称、宗教、習俗への評価には当時のヨーロッパ側の認識が反映されます。王室の書簡、植民地行政、海上活動、土地の日常を照らし合わせながら、西インド諸島の初期植民地史がどのように記録されてきたかを知る巻です。引用の多さは、複数の証言を集めて海域全体の動きを説明しようとする編者の姿勢を示します。

航海の記述に日付や地名が多い一方、個々の島に関する記事は年を隔てて再登場します。島別の通史とは違い、同じ時期に離れた場所で起きた占領や交渉を並べて読むことで、一国の拡張だけでは説明できない海域の動きを把握できる点が、この巻の配列の利点です。

第II巻の詳細概要 第II巻の詳細概要を閉じる

『西インド諸島年代史』第2巻は、イングランド、フランス、スペインなどの勢力がカリブ海の支配を争う時期を中心に、各島の政治、戦争、交易、奴隷制を年代順に記録します。冒頭付近のペン提督の遠征やトルトゥーガの動向から、18世紀後半の海戦や占領報告までが続き、植民地間の競争が本国の戦争や外交と切り離せないことを示す巻です。

カルタヘナ占領、ポルトベロとチャグレ川河口の降伏条項、ハバナ攻略に関する書簡と艦船一覧など、軍事行動は報告書や協定の形でも提示されます。指揮官の勝利の報告だけでなく、兵力、被害、砦や港の引き渡し条件、住民や兵士の財産の扱いを読むことができます。海賊鎮圧の布告や私掠活動、休戦旗を利用した交易の記事は、戦争と商業の境目が海上でどのように争われたかを伝えます。

奴隷貿易の特権であるアシエントの条件は、本巻の重要な資料の一つです。奴隷を輸送・販売する事業が王権と会社の契約によって組織される一方、島内では逃亡、武器の所持、白人への抵抗などを処罰する規定が定められていました。著者が引用する法令は、奴隷制が労働制度にとどまらず、人の移動、身体、裁判上の地位を支配する仕組みであったことを具体的に示しています。

ジャマイカでの裁判権をめぐる総督と議会の対立、栽培や肉の供給に関する命令、バルバドスの災害日誌など、戦闘以外の統治と生活の記事も豊富です。終盤のロドニーの書簡、セント・ユーステイシャスやトバゴ、ニュープロヴィデンスをめぐる報告は、諸島と周辺沿岸が一つの作戦・交易空間として結ばれていたことを映します。資料の発信者は軍人や行政官が多く、各集団への評価には立場があります。編者の説明と引用文書を区別して読めば、帝国間の競争と島内の不平等が重なった時代を、多種類の同時代記録から検討できます。命令と戦闘報告を読み合わせると、海域の支配をめぐる具体的な利害も見えてきます。

降伏の条件や行政命令が長く引用されるため、勝敗の要約からは抜け落ちる交渉の細部も残ります。自由な住民、有色人、奴隷、先住民が異なる資格で戦争に組み込まれる記録を読み合わせると、軍事力が正規軍だけで成り立っていたわけではないことも見えてきます。

第III巻の詳細概要 第III巻の詳細概要を閉じる

『西インド諸島年代史』の最終巻で、18世紀末から1816年に至るカリブ海世界の変動を扱います。島の返還や接収、革命と戦争、奴隷貿易をめぐる外交、各地の統治を年代順に配し、前2巻で形成された植民地秩序が大きく揺らぐ時期を描きます。ドミニカでの英仏間の引き渡しをめぐる緊張のように、条約上の決定と現地での実行の間に生じる摩擦も詳しく記録されます。

ハイチ革命に関わる記事では、黒人の部隊とフランス軍の戦闘、砦の包囲、突破と虐殺などが具体的に叙述されます。デサリーヌの行動を含む戦闘記録は、革命をヨーロッパの外交の付随事項として済ませず、自由と支配をめぐる激しい現地の闘争として示す部分です。著者の叙述にはヨーロッパ側の残虐行為を批判する表現もあり、当時の語彙に表れる先入観とともに、その評価の方向にも注意を向けられます。

海上戦では私掠船との交戦や爆発、生存者の救助を記した報告があり、艦船、武装、人員、損害が列挙されます。スリナムの占領、エスパニョーラでのフランス支配への反抗、島々への遠征などを合わせると、ナポレオン戦争期の争いがカリブ海の港や沿岸社会へ及ぶ過程が見えます。宣教師コークの説教や会衆の増加の記述もあり、宗教活動と社会の変化も軍事史に並んで扱われます。

奴隷制については、ホッジによる虐待をめぐる証言、オランダの奴隷貿易禁止に関する布告、黒人を当然に奴隷と推定する考えを否定したセント・ヴィンセントの判決などが重要です。これらは暴力の実態と、それをめぐる法的・政治的な変化を異なる角度から伝えます。全体は後世の一貫した説明だけで統合されず、書簡、戦況報告、証言、命令を積み重ねる編纂であるため、発信者や引用の範囲を確かめながら読む必要があります。独立革命、帝国間戦争、奴隷貿易抑制が同時進行した時代を、諸島横断の時間軸で追える最終巻となっています。

一つの島の出来事が別の島の軍事行動や外交措置に続いて配置されるため、革命の影響が海を越えて広がる様子を追いやすいです。自由の法的な承認と奴隷状態の持続が同時に記録される点も、制度変更を単純な進歩の物語へ還元しない読み方を促します。

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原刊
ロンドン、Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年、全3巻
翻訳版
2042頁
図版・挿図
6点
原刊言語
英語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Thomas Southey『Chronological History of the West Indies』全3巻(London: Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年初版)。
権利・利用条件
1827年原刊本文および原刊図像は著作権保護期間を満了しています。Internet Archiveの主底本はNot in Copyrightと表示されています。デジタル画像には公開元および所蔵館の利用条件が適用される場合があります。
各分冊の底本・公開条件

第I巻

西インド諸島年代史 第一巻

Chronological History of the West Indies, Volume I

原刊
ロンドン、Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年、全3巻
構成
1492–1654年・原刊本文336頁・PDF 471頁
底本
Thomas Southey『Chronological History of the West Indies』全3巻(London: Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年初版)。
権利・利用条件
1827年原刊本文および原刊図像は著作権保護期間を満了しています。Internet Archiveの主底本はNot in Copyrightと表示されています。デジタル画像には公開元および所蔵館の利用条件が適用される場合があります。

第II巻

西インド諸島年代史 第二巻

Chronological History of the West Indies, Volume II

原刊
ロンドン、Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年、全3巻
構成
1655–1783年・原刊本文552頁・PDF 704頁
底本
Thomas Southey『Chronological History of the West Indies』全3巻(London: Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年初版)。
権利・利用条件
1827年原刊本文および原刊図像は著作権保護期間を満了しています。Internet Archiveの主底本はNot in Copyrightと表示されています。デジタル画像には公開元および所蔵館の利用条件が適用される場合があります。

第III巻

西インド諸島年代史 第三巻

Chronological History of the West Indies, Volume III

原刊
ロンドン、Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年、全3巻
構成
1784–1816年・付録・原刊本文620頁・PDF 867頁
底本
Thomas Southey『Chronological History of the West Indies』全3巻(London: Longman, Rees, Orme, Brown, and Green、1827年初版)。
権利・利用条件
1827年原刊本文および原刊図像は著作権保護期間を満了しています。Internet Archiveの主底本はNot in Copyrightと表示されています。デジタル画像には公開元および所蔵館の利用条件が適用される場合があります。
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