書籍
HISTORICAL TRAVEL NARRATIVE · 1900
原題Auf alten Wegen in Mexiko und Guatemala: Reiseerinnerungen und Eindrücke aus den Jahren 1895-1897
メキシコとグアテマラの古道をゆく
1895-1897年の旅の思い出と印象・1900年初版 日本語全訳
ツェツィーリエ・ゼーラー=ザックスが、1895年から1897年にかけてメキシコとグアテマラを横断した旅の経過、各地の生活・民族・景観・考古遺物を記した旅行記。1900年初版の外装、前付、本文1–363頁、原注、図題を全訳し、光沢版図版65点、本文挿図260点、折込地図を収録しています。
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ツェツィーリエ・ゼーラー=ザックスが、一八九五年から一八九七年にかけてメキシコとグアテマラを旅した経験を記した旅行記です。パツクアロ方面への小旅行、オアハカ、テワンテペク地峡、チアパス、グアテマラなどをたどり、街道、集落、自然の景観、日々の宿泊や食事、考古遺物の観察を重ねます。多数の図版と挿図は、遺跡だけでなく、旅先で目にした暮らしと土地の姿を伝える役割を持っています。
著者は前の旅の記憶と今回の経路を比べ、再会した人々や以前通った道に触れます。鉄道が畑や山麓を進む景色、ヤシの森、草に覆われた山道、川の源流へ下る騎行など、移動の感覚が細かく描かれます。地名の意味や土地の歴史も織り込まれ、地図上の地点が、道の状態、暑さ、休息できる水辺といった身体的な経験によって結びつけられています。
考古学への関心は旅の重要な柱です。ミトラなどでの滞在、奇妙な彫像、絵文書に似た蛇やワニの特徴、石造物の観察が登場します。石を動かすために枝を組んで足場を作る場面や、資料の梱包に木から垂れる植物を利用する記述からは、調査が現場の人々の工夫と物資に支えられた仕事であったことが分かります。完成した学術報告では省かれがちな作業の条件が伝えられます。
古い石列が土を留め、小さな耕作面を作っていたという観察は、遺物をかつての農業景観として読む試みです。一方、アンティグアの町、温泉、花々や森、舟で訪れる場所など、関心は古代に限定されません。旅の拠点へ戻る安心感や、病気の際に抱く気持ちも語られ、土地の記述と旅する本人の生活が切れずにつながっています。
出発の遅れや熱病、宿や輸送の不便は、旅程が計画どおりには進まないことを示します。先住民の歴史や習俗の説明には当時のヨーロッパ人の分類と評価が含まれるため、観察そのものと区別して読む必要があります。本書は、学術的な調査旅行の成果だけでなく、その間に交わされた援助、道の選択、休息と作業を具体的に記した記録として、十九世紀末のメキシコ・グアテマラを複数の尺度から見ることのできる旅行記です。
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- 原刊
- ベルリン、1900年
- 翻訳版
- 628頁
- 図版・挿図
- 325点
- 原刊言語
- ドイツ語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Caecilie Seler『Auf alten Wegen in Mexiko und Guatemala: Reiseerinnerungen und Eindrücke aus den Jahren 1895-1897』(Berlin: Dietrich Reimer (Ernst Vohsen)、1900年初版)。
- 権利・利用条件
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