書籍
AMERICAN FOLK-LORE AND HISTORY · 1894
原題Nagualism: A Study in Native American Folk-lore and History
ナグアリズム
アメリカ先住民の民間伝承と歴史に関する研究・1894年初版 日本語全訳
ダニエル・G・ブリントンが、メキシコと中央アメリカにおけるナグアル、守護霊、変身信仰、秘密結社、先住民反乱、火・緑石・樹木・十字などの象徴、語源と旧世界との比較を論じた1894年の民俗学・宗教史研究。独立抜刷の標題紙、目次、本文全42節、引用、原注、索引352項目を全訳しています。内容のない原刊2頁は省略しています。
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ブリントンの『ナグアリズム』は、メキシコと中央アメリカの守護霊、動物への変身、治療や占い、秘密の儀礼を、先住民宗教の持続という観点から論じた一八九四年の研究です。植民地期の記録、言語資料、祈り、反乱に関する記事を集め、ナグアルと呼ばれる存在や実践を広い地域へ結びつけます。著者は個別の迷信の集まりとしてではなく、征服後にも残った宗教的・政治的なまとまりとして捉えようとします。
語の意味を探る部分では、ナワトル語だけでなく、マヤ語、キチェ語、カクチケル語、ツェンタル語、サポテカ語などの資料が比較されます。守護的な存在、日と運命、魔術的な能力を示す表現がどのように関わるかを検討し、地域ごとに異なる記録を共通の主題へまとめます。語源上の類似がそのまま同一制度の証明になるわけではないため、比較に用いられた言語と典拠の区別が重要です。
暦、祈祷、病人のトナルを回復するための言葉などは、抽象的な信仰論を具体的な行為へ結びつけます。火、緑色の石、樹木、十字などの象徴が扱われ、日常の物や自然の力に宗教的な意味が与えられる仕方を説明します。キリスト教に似た外見の要素も、旧来の意味を保ったり、新しい信仰の中で再解釈されたりするものとして、著者の関心を引いています。
女性の宗教的権威、秘密結社とされる組織、先住民の反乱、教会当局の取り締まりも大きな論点です。異端審問や宣教師の記録は、実践を弾圧する側が残した資料であり、そこに描かれる統一的な陰謀や魔術の像をそのまま受け入れることはできません。著者自身もそれらを大きな歴史像へ組み直しているため、引用された証言と、広域の運動を想定する解釈を分けて読む必要があります。
旧世界との比較も交えながら、ブリントンは征服によって先住民の信仰が消えたという見方に異議を唱えます。その一方、ナグアリズムという一つの名称で異なる地域と時代をまとめる方法には、当時の宗教史研究の特徴が現れています。本書は現代の信仰実践を一括して説明する手引きではなく、膨大な文献に散らばる記録を集め、宗教と抵抗の関係を考えた学説史上の資料として読むことができます。
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- 原刊
- フィラデルフィア、1894年
- 翻訳版
- 108頁
- 図版・挿図
- 0点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Daniel G. Brinton『Nagualism: A Study in Native American Folk-lore and History』(Philadelphia: MacCalla & Company, Printers、1894年)。『Proceedings of the American Philosophical Society』第33巻から作成された独立抜刷。
- 権利・利用条件
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- 公開日
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