書籍
DOTTINGS ON THE ROADSIDE · 1869
原題Dottings on the Roadside, in Panama, Nicaragua, and Mosquito
パナマ、ニカラグア、モスキート路傍点描
1869年ロンドン刊 日本語全訳
英国海軍士官ベッドフォード・ピムと植物学者ベルトルト・ゼーマンが、パナマ、ニカラグア、モスキート海岸を旅して記した紀行です。大洋間交通、鉄道・運河計画、政治と社会、自然史、先住民の生活と地域の歴史を、地図・図版とともに描いています。
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英国海軍士官ベッドフォード・ピムと植物学者ベルトルト・ゼーマンが、パナマ、ニカラグア、モスキート海岸などで得た見聞をまとめた旅行記です。二人がそれぞれ担当する叙述には、交通路の開発、鉱山調査、自然史、地域政治が入り交じります。地峡を横断する移動の記録を通じて、中央アメリカを英国の通商と国際交通に結びつけようとする構想が浮かび上がります。
ゼーマンの記述は、パナマの政情や地峡鉄道の話から、太平洋岸の港々、ニカラグア内陸の町と鉱山へ進みます。ヌエバ・セゴビアでの調査、マタガルパやセバコへの往来、チョンタレスの金鉱などを扱い、採掘への期待と現地で得た判断を語ります。旅先の人との交渉や宿泊、航行の困難も織り込まれ、開発計画が具体的な土地と生活の条件に左右される様子を伝えます。
自然史の関心は、植物の利用、動物標本、湖水や土壌の観察に現れます。ティスカパ湖の測定や硫黄臭、死んだ魚についての記述、カヌーを水漏れから守る樹脂など、風景の描写は資源や生活技術の話につながります。他方、ココス島の埋蔵財宝や古代の碑刻をめぐる挿話もあり、確かな観察と伝聞、著者の推測が同じ旅の中に並んでいます。
ピムの関心が強く出るのは、鉄道敷設の権利、運河や港湾の可能性、モスキート海岸をめぐる外交です。付録にはニカラグアでの鉄道特許、英国とホンジュラスの条約、ブルーフィールズの集会記録などが収められます。沿岸の主権や先住民の立場をめぐる問題が、国際的な事業権と結びついていたことを、旅行談と文書の両面からたどれます。条約上の約束と現地の声が併置されることで、路線計画の背景にある政治的な交渉も見えてきます。
著者たちは英国の利益を積極的に擁護し、米国の影響力拡大を警戒しています。また、住民を人種的な序列で評価する偏見も記述の随所に見られます。そのため本書は、現地社会を公平に説明する資料としてだけでなく、博物学的な探究と商業的な野心、帝国的な世界観が同居した十九世紀の旅行記として読む必要があります。豊富な見聞と、それを選び解釈する著者たちの立場の双方が内容を形づくっています。
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- 原刊
- ロンドン、Chapman and Hall、1869年
- 翻訳版
- 371頁
- 口絵・図版・地図・本文図
- 12点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Bedford Pim and Berthold Seemann, Dottings on the Roadside, in Panama, Nicaragua, and Mosquito, London: Chapman and Hall, 1869.
- 権利・利用条件
- Biodiversity Heritage Libraryは当該デジタル資料の権利状態を「Public Domain」と表示しています。本公開版の本文画像、口絵、図版、地図は、この公開機関の表示に基づいて収録しています。
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