書籍
HISTORIA GENERAL Y NATURAL DE LAS INDIAS · 1851–1855
原題Historia general y natural de las Indias, islas y tierra-firme del mar océano
インディアスの一般史・博物誌
全4巻・1851-1855年刊
ゴンサロ・フェルナンデス・デ・オビエドが、新大陸の自然、先住民の社会と習俗、スペイン人の探検・征服・植民地統治を記した歴史書・博物誌です。ホセ・アマドール・デ・ロス・リオス編、1851-1855年マドリード刊の全4巻を底本としています。
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オビエドが新世界で見聞した事柄を、征服と統治の歴史、住民の習俗、動植物や鉱物の記載として集成した大著の第一部です。コロンブスによる航海とエスパニョーラ島への進出から、カリブ海の島々、フロリダ方面へと視野を広げます。個々の航海や植民の経緯と、土地の産物や人々の暮らしが同じ叙述の中に置かれ、帝国の拡張が未知の自然についての知識と結びついていく過程が見えてきます。
巻頭には十九世紀の編者による著者の生涯と著作の紹介があり、宮廷や植民地での職務、覚書の蓄積、未刊著作の執筆などが説明されます。王立歴史アカデミーがオビエド、ラス・カサス、サアグンらの刊行を企画した理由も示され、十六世紀の証言を十九世紀に国史の史料として再評価する編集者の立場を知ることができます。
歴史叙述では、コロンブスが現地に残した砦と人員、ピンソン兄弟との対立、先住民との接触や植民地の支配を扱います。座礁船の木材で築いた砦に三十八人を残し、内陸へ進まず分散しないよう命じる場面は、遠隔地での拠点維持の難しさを示しています。住民の戦闘、婚姻、葬送、宗教についての記述も多いです。金の採掘を優先した管理が先住民と植民地双方の衰退を招いたとする批判も含まれ、単純な成功物語には収まらない植民初期の利害と暴力が記録されています。
博物誌の部分では、芳香をもつ樹木や果実、移入された野菜、鎧のような甲羅をもつ動物、多様な昆虫、塩や瀝青などが取り上げられます。形、味、色、利用法をヨーロッパの読者に伝えるため、既知の動植物との比較を重ね、プリニウスなど古典の記述とも照合します。食料の不足や家畜の飼育といった生活上の経験が、自然の観察を具体的なものにしています。
ただし観察、他者からの伝聞、古典の権威、キリスト教的な評価は明確に分離されていません。先住民の宗教を悪魔崇拝と呼び、習俗を罪として裁く説明は著者の歴史的視点です。第一巻は、カリブ海世界の環境と初期植民を読み合わせながら、目撃者を自任する年代記官が何を確かな知識と考えたのかを検討できる資料となっています。
第2巻の詳細概要 第2巻の詳細概要を閉じる
『インディアスの一般史・博物誌』第二部の前半を収める巻で、カリブ海を主軸とした第一巻から、海峡を越える航海と南米各地の征服へと対象を広げます。マガリャネス海峡、南海、香料の島々への航路、ラ・プラタ川流域、パリアや大陸北部の統治領が叙述の主要な舞台となります。広大な地域を一つの直線的な年表にまとめず、航海や総督領ごとの経緯を積み重ねる構成です。
海の記録では、船団の離散や船の喪失、航行する緯度、寄港地、物資の交換などが具体的に語られます。食料船とはぐれた一行が、わずかな乾パンと水を頼りに進み、鶏の卵を病人のために使う話もあります。香料地域での交易には金属、陶器、紙、蝋、塩、船の修繕に使う樹脂が登場し、数量や単位も記されます。ウルダネタらと現地の王との交渉は、遠征隊が武力だけで行動できたのではなく、同盟、船の建造、供給の約束に左右されたことを伝えます。
ラ・プラタ地方の章では、河川をさかのぼる探検と植民、先住民との衝突、総督カベサ・デ・バカをめぐる対立などを扱います。さらにパリア方面では、指揮官の死と後任者の派遣、内陸への行軍、負傷者の療養、案内人や通訳の働きが記されます。新しい土地を占領する軍事行動と、その後の統治権や利益配分をめぐる争いが連続した問題として現れます。
金の獲得を抑えて平定を先行させようとする総督に兵士が不満を抱く場面や、征服者に対する告発・投獄の記述もあります。地理的な発見の報告の中には、動物、塩の産地、服装、女性の生活や戦闘に関する情報が織り込まれます。これらは物産の目録であると同時に、探検隊の食料、移動、危険、財産への関心を映す観察でもあります。
オビエドは当事者の報告や敵対者から聞いた話を集め、その出所に言及しながら叙述するが、証言の偏りまで解消しているわけではありません。飢えの中での行為や先住民の慣行を道徳的に評価する言葉にも著者の立場が表れます。本巻からは、海洋探検と大陸内陸部への侵入がどのような情報網で知られ、その情報が帝国の歴史へ編み直されたのかを読むことができます。
第3巻の詳細概要 第3巻の詳細概要を閉じる
オビエドの大著第二部の後半に当たる本巻は、ダリエンとカスティーリャ・デル・オロから、ホンジュラス、ヌエバ・エスパーニャ、グアテマラ、北方への遠征へと展開します。各総督領の成立と争いを軸にするため、隣接地の出来事や指揮官の行動が相互に交差します。バルボアの権力掌握、南海方面の探検、コルテスによるメキシコ征服などを通じ、植民拠点が拡張していく過程を追う巻です。
冒頭のダリエン関係の叙述では、バスコ・ヌニェス・デ・バルボアやペドラリアスをめぐる人事、宮廷への働きかけ、統治と裁判の問題が重要となります。航路や湾の記述と並び、征服地から持ち帰られる情報、指揮官と役人の利害、告発の理由が取り上げられます。オビエド自身の関与を含む事件もあり、著者の経験が叙述の具体性を支える一方、その評価にも影響しています。
クエバ地方の戦争や農業、果物などの記述から、ホンジュラスへの遠征、クリストバル・デ・オリドの行動へ話が移ります。地方社会について得られた知識は、土地を支配しようとする側の判断と密接です。地域名や統治領の区分が書の編成の問題にも結びついており、著者が情報を追加する過程で歴史全体の配置を調整していたことも読み取れます。
メキシコ征服の叙述では、スペイン勢の首都からの退却、その後の再編、テスココやチャルコとの関係、テノチティトラン包囲などが扱われます。コルテスらの報告を通じて、軍事行動が先住民諸勢力との協力や対立によって進んだことが示されます。さらにアルバラードの遠征やヌニョ・デ・グスマンの行動、ナルバエス遠征に伴うカベサ・デ・バカの経験へと地理的範囲が広がります。
史料には書簡や当事者の語りが取り込まれ、互いに食い違う報告が届く事情にも言及されます。他方、女だけの町をアマゾネスになぞらえるなど、既存の伝説を新しい土地へ投影する見方もあります。各遠征の実際、著者が採用した証言、宗教的・古典的な解釈を区別して読むことで、中米とメキシコの征服史と、それを記録した知識の形成を併せて検討できます。
第4巻の詳細概要 第4巻の詳細概要を閉じる
全体の第三部を収める最終巻で、ニカラグアなどの中米地域から南米太平洋岸、ペルーの征服と内戦へ叙述を進め、末尾では「災難と難船」に関する報告を集めます。前巻までに描かれた探検と領土獲得を引き継ぎながら、征服者同士の権力争い、王権との関係、遠征が失敗したときの経験を大きく取り上げます。成功した征服の経過と、統制を失う植民活動の両面が読める巻です。
中米については、ニカラグアの地方と住民、宗教的な教化の場面などが記されます。洗礼者の人数を、公証人の証明によって裏づけようとする箇所もあります。パナマからアンダゴヤの統治領へ向かう旅や、ポパヤンのベナルカサルに関する報告が続き、太平洋側の各拠点のつながりが示されます。川、橋、集落、衣服、神殿といった具体的な情報は、軍隊が移動し、現地の権力と交渉する際の条件として叙述に組み込まれています。
ペルーでは、カハマルカでの会見に向けた準備やアタワルパの陣営、ピサロ側の行動を扱い、征服後にはピサロとアルマグロの対立へ重点が移ります。誰が事業へ貢献し、どの権限と利益を受けるべきかという不満が、軍事的な争いへ発展します。インカ側の人物との交渉もこの対立の中に現れ、スペイン人と先住民という二つのまとまりだけでは説明できない政治状況が描かれます。
その後の副王や各隊長の行動、援軍の要請、敗北と病気の記述を通じ、征服地を王権の秩序へ組み込む困難が示されます。一方、終盤の難船・災難の報告は、飢えと渇き、海鳥や塩気のある水による生存、川沿いでの食糧確保などへ視点を下げます。カルバハルの報告や女だけで暮らす人々に関する伝聞も取り込まれ、遠征の現実と驚異の語りが隣り合います。
巻末には用語に関する説明などもあり、征服の暴力を表す語や当時の言葉の使われ方を確かめる手がかりになります。災厄を神の裁きとして理解する説明はオビエドの信仰に基づくもので、今日の因果説明とは区別する必要があります。大著の結末として、領土拡大の栄光だけでなく、その内部の争いと生命の不安定さを、多様な証言からたどる資料となっています。
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- 原刊
- マドリード、Real Academia de la Historia、1851-1855年
- 翻訳版
- 4129頁
- 日本語訳表紙
- 16点
- 原刊言語
- スペイン語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Gonzalo Fernández de Oviedo y Valdés, Historia general y natural de las Indias, islas y tierra-firme del mar océano, ed. José Amador de los Ríos, tomos I-IV, Madrid: Real Academia de la Historia, 1851-1855.
- 権利・利用条件
- 原著および1851-1855年刊本は保護期間満了(パブリックドメイン)。Biodiversity Heritage Libraryはパブリックドメイン資料の電子化に新たな著作権を主張せず、商用を含む再利用を認めています。利用方針:https://about.biodiversitylibrary.org/help/copyright-and-reuse/
- 各分冊の底本・公開条件
-
第1巻
インディアスの一般史・博物誌 第1巻
Historia general y natural de las Indias, Tomo I
- 原刊
- マドリード、Real Academia de la Historia、1851年
- 構成
- 日本語版PDF 1,161頁・図版・挿図6点
- 底本
- Gonzalo Fernández de Oviedo y Valdés, Historia general y natural de las Indias, islas y tierra-firme del mar océano, ed. José Amador de los Ríos, tomo I, Madrid: Real Academia de la Historia, 1851.
- 権利・利用条件
- 原著および1851年刊本は保護期間満了(パブリックドメイン)。New York Botanical Garden提供、Biodiversity Heritage Library/Internet Archive公開。BHLはパブリックドメイン資料の電子化に新たな著作権を主張せず、商用を含む再利用を認めています。底本:https://archive.org/details/historiageneraly01fern 利用方針:https://about.biodiversitylibrary.org/help/copyright-and-reuse/
第2巻
インディアスの一般史・博物誌 第2巻
Historia general y natural de las Indias, Tomo II
- 原刊
- マドリード、Real Academia de la Historia、1852年
- 構成
- 日本語版PDF 831頁・図版・挿図3点
- 底本
- Gonzalo Fernández de Oviedo y Valdés, Historia general y natural de las Indias, islas y tierra-firme del mar océano, ed. José Amador de los Ríos, tomo II, Madrid: Real Academia de la Historia, 1852.
- 権利・利用条件
- 原著および1852年刊本は保護期間満了(パブリックドメイン)。Missouri Botanical Garden提供、Biodiversity Heritage Library/Internet Archive公開。BHLはパブリックドメイン資料の電子化に新たな著作権を主張せず、商用を含む再利用を認めています。底本:https://archive.org/details/mobot31753003541593 利用方針:https://about.biodiversitylibrary.org/help/copyright-and-reuse/
第3巻
インディアスの一般史・博物誌 第3巻
Historia general y natural de las Indias, Tomo III
- 原刊
- マドリード、Real Academia de la Historia、1853年
- 構成
- 日本語版PDF 1,091頁・図版・挿図2点
- 底本
- Gonzalo Fernández de Oviedo y Valdés, Historia general y natural de las Indias, islas y tierra-firme del mar océano, ed. José Amador de los Ríos, tomo III, Madrid: Real Academia de la Historia, 1853.
- 権利・利用条件
- 原著および1853年刊本は保護期間満了(パブリックドメイン)。New York Botanical Garden提供、Biodiversity Heritage Library/Internet Archive公開。BHLはパブリックドメイン資料の電子化に新たな著作権を主張せず、商用を含む再利用を認めています。底本:https://archive.org/details/historiageneraly03fern 利用方針:https://about.biodiversitylibrary.org/help/copyright-and-reuse/
第4巻
インディアスの一般史・博物誌 第4巻
Historia general y natural de las Indias, Tomo IV
- 原刊
- マドリード、Real Academia de la Historia、1855年
- 構成
- 日本語版PDF 1,046頁・図版・挿図5点
- 底本
- Gonzalo Fernández de Oviedo y Valdés, Historia general y natural de las Indias, islas y tierra-firme del mar océano, ed. José Amador de los Ríos, tomo IV, Madrid: Real Academia de la Historia, 1855.
- 権利・利用条件
- 原著および1855年刊本は保護期間満了(パブリックドメイン)。Missouri Botanical Garden提供、Biodiversity Heritage Library/Internet Archive公開。BHLはパブリックドメイン資料の電子化に新たな著作権を主張せず、商用を含む再利用を認めています。底本:https://archive.org/details/mobot31753000521697 利用方針:https://about.biodiversitylibrary.org/help/copyright-and-reuse/
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第1巻
インディアスの一般史・博物誌 第1巻
1,161頁第2巻
インディアスの一般史・博物誌 第2巻
831頁第3巻
インディアスの一般史・博物誌 第3巻
1,091頁第4巻
インディアスの一般史・博物誌 第4巻
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