大洋の島嶼および大陸におけるカスティーリャ人の事績総史の表紙

書籍

HISTORIA GENERAL · 1601–1615

原題Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano

大洋の島嶼および大陸におけるカスティーリャ人の事績総史

全8デカーダ・日本語版4分冊

Antonio de Herrera y Tordesillasアントニオ・デ・エレーラ

アントニオ・デ・エレーラが、カスティーリャ人による新大陸の探検、征服、統治と先住民諸社会との交渉を年代順に叙述した全8デカーダの通史です。1601年・1615年マドリード初版に基づく日本語全訳を、4分冊のPDF・EPUBで収録しています。

第1・第2デカーダの詳細概要 第1・第2デカーダの詳細概要を閉じる

エレーラがカスティーリャ王権の海外進出を年代順に編成した大部の通史のうち、コロンブスの構想からメキシコ征服の初期段階までを収める冊です。冒頭では、未知の土地の存在をめぐる古代以来の知識、地球の両半球の自然、アメリカ住民の由来などを検討し、航海計画が王室に認められる過程へ進みます。地理的認識の変化と、航海を可能にした契約・王命が同じ叙述のなかに置かれています。

第1デカーダでは、カリブ海の島々への航海、エスパニョーラ島での入植、金の探索、先住民首長との贈答や戦争、植民者内部の反乱が交錯します。コロンブスと弟たちへの告発、ボバディリャによる査察、オバンドの統治を通じて、航海者個人の権限が王室の行政組織へ組み込まれていく様子も描かれます。第四次航海のホンジュラス沿岸、ベラグア、パナマ方面の記事は、中央アメリカをカリブ海の経験と結ぶ部分です。

第2デカーダに入ると、ダリエンをめぐる政争、先住民の待遇を改善しようとするラス・カサスの請願、ユカタン沿岸の探索からコルテスの遠征へ重点が移ります。トラスカラとの戦闘と同盟、チョルーラでの殺戮、モテスマとの対面と拘留、ナルバエス軍との争い、メキシコ市からの退却が続きます。宮殿、市場、貢納、儀礼、舞踊などの記述が軍事的事件の間に入り、著者が先住民社会をどのような枠組みで理解したかも読み取れます。

本冊の終わりは、コルテスが同盟と補給を立て直し、船を建造して再攻撃に備える段階にあります。征服を一人の英雄の連続した成功として見るだけではなく、指揮権、労働力、食糧、航海情報をめぐる競合を追える構成が特色です。ただし、先住民への暴力を「処罰」や「平定」と記し、王権と改宗事業を正当化する語りは著者の立場に属します。1601年刊の本冊では、王室への報告や命令を年代順に配置することで、現地の出来事と宮廷の判断を結びつけています。

海を渡るたびに報告や訴えが宮廷へ持ち込まれ、その返答が現地の権力関係を変える点にも注目できます。出来事を地域別に切り分けず同じ年代のなかへ置く叙述が、大西洋の往復に支えられた初期植民地の姿を示しています。

第3・第4デカーダの詳細概要 第3・第4デカーダの詳細概要を閉じる

エレーラの通史の第3・第4デカーダを収め、メキシコ市包囲戦の進行から、征服地域での統治の形成と新たな遠征の拡大を描く冊です。前冊末で準備されたブリガンティン船の完成と輸送、部隊の配置、同盟者からの食糧調達などが、都市攻略の具体的な条件として現れます。戦闘の場面に加え、メシカの王統や諸地方の習慣を述べる章を挟み、征服された社会の来歴を説明しようとしています。

ヌエバ・エスパーニャの叙述では、コルテスの地位をめぐる争い、パヌコ方面への進出、ミチョアカンの社会、地方行政の運営が扱われます。コルテスの遠征中に起こる代理統治者たちの対立や、帰還の報によって変わる政治状況は、軍事的勝利の後も支配が安定していなかったことを示します。アウディエンシアやヌーニョ・デ・グスマンに対する訴えも、遠隔地の行動を王室が把握しようとする過程に位置づけられます。

中央アメリカではアルバラドのグアテマラ進出、ニカラグアの地誌とマサヤ火山探査、カスティーリャ・デル・オロの住民の習慣が取り上げられます。一方、ピサロ、アルマグロ、ルケの共同事業は、許可の獲得、資金と救援、航海中の困難という順で展開し、ペルー方面への侵入へつながっていきます。ナルバエスのフロリダ遠征も加わり、複数の地域の出来事が年代を軸に並行して記されるため、遠征が同時に進む様子をつかめます。

視野はアメリカだけに限られず、モルッカ諸島でのスペイン人とポルトガル人の対立、サアベドラの航海、海図の修正や船団運航に関する命令にも及びます。これにより、新世界の征服が太平洋航路と王室の国際的な権利主張に結びついていたことが見えます。本文中の先住民観や征服の正当化は17世紀初めの編纂者の判断として読む必要があります。1601年初版に基づく本冊は、征服の完了という単純な区切りを越えて、行政、情報、航路、地域社会が再編される過程をたどるための史料となっています。

また、火山や地形、住民の生活についての記述は、後の地誌とは異なり、遠征者が遭遇した驚異や実用的な関心に結びついています。軍事史と自然・社会の知識が、まだ分離せずに記される編纂の特色も本冊からうかがえます。

第5・第6デカーダの詳細概要 第5・第6デカーダの詳細概要を閉じる

第5・第6デカーダは、ピサロらによるペルー進出とその後の支配権争いを大きな軸に、1530年代から40年代初頭に広がるカスティーリャ人の活動を追います。サン・ミゲルの建設、インカ側との交渉、支配者の捕縛、財宝の取得と王室への送付を記しながら、インカの歴代君主、宗教、建造物、生活の仕組みにも章を割きます。征服の戦況を描く部分と、征服された社会を説明する部分が重なり合う構成です。

ピサロとアルマグロの関係は本冊を通じた重要な問題となります。共同事業の再確認、王室から得る統治権の範囲、クスコの帰属、仲裁と誓約、武力衝突へ至る経緯が積み重ねられます。エルナンド・ピサロが財宝を携えてスペインへ向かう記事では、現地での成功を王室の恩賞や管轄拡大へ換える交渉が見えます。財宝は単なる富の描写ではなく、遠征への参加、帰国、継続的な協力を左右する政治的資源として現れます。

南方ではアルマグロのチリ遠征と雪山・無人地帯の通過、キト方面ではアルバラドの進出、さらにポパヤン、マグダレナ川流域、ベネスエラの探索が扱われます。ケサダ、ベラルカサル、フェデルマンらの活動を並行して記すことで、異なる方向から進んだ遠征隊が重なり合う過程を描きます。グアテマラからの移動やホンジュラスのセルキン戦争も含まれ、ペルーの出来事が中央アメリカやカリブ海の人員・権限の移動と切り離されていないことが分かります。

後半にはオレリャナのアマゾン川航行やアラルコンの海岸探査が入り、地理的範囲はさらに広がる一方、ピサロの死とその余波が支配体制の不安定さを際立たせます。王命、改宗、先住民の待遇に関する規定も、実際の征服行動と併記されています。こうした記述は王権を中心とする著者の編纂と評価を経ており、「平定」などの呼称をそのまま中立的事実と受け取ることはできません。1615年初版に基づく本冊は、拡張の速度と征服者内部の分裂を同時に読むことのできる巻です。

厳しい行程や援軍の不足を繰り返し記すことにより、遠征が現地の食糧と案内、植民都市からの支援に大きく依存したことも伝わります。金銀の獲得と疲弊する兵士たちの描写が、拡張事業の相反する側面を形づくっています。

第7・第8デカーダの詳細概要 第7・第8デカーダの詳細概要を閉じる

エレーラの総史の締めくくりとなる第7・第8デカーダは、征服者の遠征が植民地の統治へ移る過程で生じた反乱と王権の介入を中心に描きます。冒頭付近にはエルナンド・デ・ソトのフロリダ遠征や、ヌエバ・ガリシアでの戦争に赴いたアルバラドの死が置かれ、軍事的拡張の継続とその大きな損失が示されます。前冊から続くペルーの争乱が、とりわけ多くの叙述を占めています。

ペルーでは、チュパスの戦いとバカ・デ・カストロの処置、新たな法律による統治の見直し、副王ブラスコ・ヌニェスとゴンサロ・ピサロの対立が順を追って記されます。兵士や有力者がどちらに従うか、司教や使者がどのような交渉を行うか、艦隊と港を誰が押さえるかが、戦況を動かす要因になります。国王の命令と現地の利害の衝突を、会談、書簡、官職の任命、軍の移動という具体的な出来事から見ることができます。

第8デカーダではガスカの活動と王室側への帰順、争乱の処理、統治再建が進みますが、それによって不安定さが直ちに終わるわけではありません。メンドサ副王の死後の混乱やフランシスコ・エルナンデス・ヒロンの反乱が続き、王軍と反乱軍の行動が細かく叙述されます。同時にチリの都市建設、ラ・プラタ川流域におけるカベサ・デ・バカの行動、先住民集団との交渉と戦争も扱われ、南米各地の統治の困難が並べて示されます。

太平洋ではビリャロボスの航海とポルトガル領での成り行き、北方ではヌエバ・エスパーニャのチチメカとの戦争が視野に入り、各地の動向を王国全体の歴史へまとめる意図が見えます。欄外の要約や古典からの引用は、刑罰の節度、君主の権力、忠誠と反逆に関する著者の判断を補っています。「暴君」や「反乱」という評価語も、その政治的な立場に即して読まれるべきです。1615年初版を底本とする本冊は、征服の成功譚の末尾というより、得られた領域を誰がいかなる権限で治めるかという難問を集中的に示す部分となっています。

刑罰をどの程度まで認めるべきかという欄外の論評は、個々の戦闘を政治倫理の問題へ結びつけます。戦争の結果だけでなく、裁判や恩赦、忠誠の回復を記すことが、この最終冊の統治史としての性格を強めています。

歴史書植民地史政治史中南米メキシコ中央アメリカカリブ海ペルースペイン語インディアス探検征服史スペイン植民地

EPUBは本文リフロー型です。読書アプリの画面幅・文字サイズ・縦横表示に合わせて組み替わります。

原刊
マドリード、王立印刷所/フアン・デ・ラ・クエスタ、1601・1615年
翻訳版
4910頁
日本語訳表紙
7点
原刊言語
スペイン語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Antonio de Herrera y Tordesillas, Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano, Décadas 1–8, Madrid, 1601–1615.
権利・利用条件
原著および1601年・1615年原刊はパブリックドメインです。各巻の底本画像はウィキメディア・コモンズにおいてPublic Domain Mark 1.0(既知の著作権制限なし)として公開されています。
各分冊の底本・公開条件

第1・第2デカーダ

大洋の島嶼および大陸におけるカスティーリャ人の事績総史(第1・第2デカーダ)

Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano

原刊
マドリード、王立印刷所、1601年
構成
第1・第2デカーダ・日本語版PDF 1,310頁
底本
Antonio de Herrera y Tordesillas, Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano, Décadas 1–2, Madrid, 1601.
権利・利用条件
原著および原刊はパブリックドメインです。底本画像はウィキメディア・コモンズにおいてPublic Domain Mark 1.0(既知の著作権制限なし)として公開されています。原刊標題紙画像の出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Antonio_de_Herrera_D%C3%A9cadas_1_y_2.pdf

第3・第4デカーダ

大洋の島嶼および大陸におけるカスティーリャ人の事績総史(第3・第4デカーダ)

Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano

原刊
マドリード、王立印刷所、1601年
構成
第3・第4デカーダ・日本語版PDF 1,247頁
底本
Antonio de Herrera y Tordesillas, Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano, Décadas 3–4, Madrid, 1601.
権利・利用条件
原著および原刊はパブリックドメインです。底本画像はウィキメディア・コモンズにおいてPublic Domain Mark 1.0(既知の著作権制限なし)として公開されています。原刊標題紙画像の出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Antonio_de_Herrera_D%C3%A9cadas_3_y_4.pdf

第5・第6デカーダ

大洋の島嶼および大陸におけるカスティーリャ人の事績総史(第5・第6デカーダ)

Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano

原刊
マドリード、フアン・デ・ラ・クエスタ、1615年
構成
第5・第6デカーダ・日本語版PDF 1,191頁
底本
Antonio de Herrera y Tordesillas, Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano, Décadas 5–6, Madrid, 1615.
権利・利用条件
原著および原刊はパブリックドメインです。底本画像はウィキメディア・コモンズにおいてPublic Domain Mark 1.0(既知の著作権制限なし)として公開されています。原刊標題紙画像の出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Antonio_de_Herrera_D%C3%A9cadas_5_y_6.pdf

第7・第8デカーダ

大洋の島嶼および大陸におけるカスティーリャ人の事績総史(第7・第8デカーダ)

Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano

原刊
マドリード、フアン・デ・ラ・クエスタ、1615年
構成
第7・第8デカーダ・日本語版PDF 1,162頁
底本
Antonio de Herrera y Tordesillas, Historia general de los hechos de los castellanos en las islas i tierra firme del mar océano, Décadas 7–8, Madrid, 1615.
権利・利用条件
原著および原刊はパブリックドメインです。底本画像はウィキメディア・コモンズにおいてPublic Domain Mark 1.0(既知の著作権制限なし)として公開されています。原刊標題紙画像の出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Antonio_de_Herrera_D%C3%A9cadas_7_y_8.pdf
公開日
更新日

DOCUMENT READER

日本語翻訳版 PDF・EPUB(全4分冊)

読み込む分冊を選択してください。

PDFは自動では読み込みません。上の分冊一覧から読み込むPDFを選んでください。