書籍
VOYAGE DANS L’AMÉRIQUE CENTRALE · 1857
原題Voyage dans l’Amérique centrale, l’Île de Cuba et le Yucatan
中央アメリカ、キューバ島およびユカタン紀行
1857年刊・全2巻 日本語全訳
キューバからベリーズ、ペテン、グアテマラ、ユカタンへ至る旅行記。原刊2巻の本文、原注、巻末注、付録、原刊目次を全訳し、章頭図版、民族旋律譜、折込地図を完全収録しています。
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モルレの『中央アメリカ、キューバ島およびユカタン紀行』は、大西洋を渡ってキューバを訪れ、ベリーズ、ユカタン、ペテン、グアテマラへ旅した記録です。ハバナやピノス島の描写から、潟、パレンケ、ウスマシンタ川、森林と洞窟、高地、首都、太平洋側へと進みます。原著二巻を通じて、旅行の冒険、自然誌、町と住民の観察、政治的な評言が織り合わされています。
キューバでは熱帯の景観と動植物に目を向ける一方、物価と貨幣、ヨーロッパ人の移住、病気への備えなども論じます。魅力的な土地の印象だけで入植を判断すべきでないという忠告は、旅行者が見た風景と生活の費用を区別する姿勢を示します。クモの体形や色、果実の味と匂いなど、自然の細部を言葉にとどめようとする観察も特徴です。
大陸側では、市場の先住民、古代遺跡、染料木の利用、河川の航行を扱います。パレンケなどの彫刻と現住民の姿を比較する箇所には、古代と現在を結び付けようとする当時の関心が表れます。ウスマシンタの峡谷、湖の鰐、森林に囲まれた集落などは、地形の迫力と道中の経験を交えて描かれます。ただし人物や集団を文明の尺度で評価する表現は、著者自身の視線として読む必要があります。
ペテンから丘陵と山地へ進むと、植生と気候の変化が叙述の軸になります。蘚や地衣、着生植物が繁茂する森の描写は、低地との違いを印象的に示します。グアテマラではカレーラの統治と政治的な力量に評言を加え、ベリーズでは厳しい条件の土地を利用した英国人の活動を評価します。これらは現地の制度を公平に網羅した説明ではなく、著者が旅の中で形成した政治的な判断です。
付録には博物学的な調査について科学アカデミーへ提出された報告や地図に関する説明があり、フロレスからカンペチェ、メリダ、テノシケ、ベリーズ、コバン、グアテマラへ向かう道も列挙されます。物語としての旅行記と、後続の旅行・研究に使う情報が同居している点に本書の特色があります。景観の感動、採集と観察、移動の困難を一緒に読むことで、十九世紀の博物学的旅行がどのような知識を集めたかをたどれます。
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- 原刊
- 1857年
- 翻訳版
- 538頁
- 図版・挿図
- 25点
- 原刊言語
- フランス語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Arthur Morelet『Voyage dans l’Amérique centrale, l’Île de Cuba et le Yucatan』全2巻(Paris、1857年)。
- 権利・利用条件
- 原刊本文はパブリックドメインです。Internet Archiveの当該項目には個別のrights/licenseurl表示がありません。公開画像には当該項目と提供館の条件が適用されます。
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