書籍
HISTORIA DE LA AMÉRICA CENTRAL · 1879–1905
原題Historia de la América Central
中央アメリカ史――全5巻(1502–1786年)
1879–1905年グアテマラ刊・全5巻日本語全訳
ホセ・ミリャが著し、その死後、アグスティン・ゴメス・カリーリョが公式の委嘱により継続した中央アメリカ植民地期の通史です。先住民諸社会の概観、1502年以後の接触・征服から1786年までの政治、行政、教会、社会、経済、都市、自然災害、カリブ海岸を扱います。Biblioteca Ludwig von Mises(Universidad Francisco Marroquín)所蔵の原刊全5巻を底本としました。
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ホセ・ミリャによる中央アメリカ植民地史の第一巻は、スペイン人到来以前の諸社会と征服者側の歴史的背景を置いたうえで、接触、軍事征服、植民地統治の成立を追います。冒頭ではキチェなどの伝承、王権、貢納、暦を取り上げ、続いてスペインの王権とコルテス、法制の整備を概観します。中央アメリカの征服を孤立した冒険談として扱わず、異なる政治・宗教制度が衝突した過程として描こうとする構成です。
本編の中心は、ヒル・ゴンサレス、コルテス、ペドロ・デ・アルバラドらの行動と、それに伴う先住民諸集団の抵抗、奴隷化、人口と生活への打撃です。ホンジュラス湾の島民を捕らえる交易事業、ニカラグアでの戦闘、メキシコからホンジュラスへの遠征などが相互に結び付けられます。アルバラドのペルー遠征では、王命による探検という名目と、富の獲得を求める個人の判断との隔たりも問題にされます。
叙述は軍事行動だけでなく、総督の任命、在職者を審査するレシデンシア、市参事会の権限、王室文書の文言へ及びます。アルバラドの復職をめぐって、将来の任命の約束と現在有効な任命とは異なるという争点を示し、植民地社会が法的手続によっても形づくられたことを伝えます。ラス・カサスの先住民保護活動と王室への働きかけは、征服者の利害に対する別の力として現れます。王室の保護政策と征服者の要求を対照させることで、支配が成立した後にも、土地と人々を誰がどのように統治するかが争われ続けたことを示しています。
巻末に近づくと、アルバラドの死、ベアトリスの総督就任、グアテマラ市を襲った洪水、パンチョイ谷への移転、新法の公布へと進みます。政治的継承と自然災害が同時に都市の秩序を揺さぶり、新しい統治と居住の場を決める議論が詳しく述べられます。年代記や書簡の比較による日付の訂正、英雄的逸話の否定もあり、著者が史料の食い違いを吟味する姿が見えます。一方、古代伝承の解釈や征服者への道徳的評価には十九世紀の歴史観が反映されており、引用された証言と著者自身の裁定を読み分ける必要があります。
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『中央アメリカ史』第二巻は、征服直後の支配を制度化する過程から、十七世紀後半の植民地社会までを扱います。第一巻末の新法を受け、先住民の解放と植民者の権益、王室の命令と現地の慣行が衝突する場面が続きます。ラス・カサスの活動をめぐる司教と統治者の対立、告解に際して返還や解放を要求した定式書への反発などから、宗教上の問題が財産と主権の問題でもあったことが示されます。
先住民集落の再編、貢納の免除、労働動員は本巻の重要な軸です。ドミニコ会士による教化集落の形成を述べる一方、貧困者を貢納や裁判手数料から保護する王令と、現地官吏による搾取を並べます。鉱山と精錬への強制的な労働割当が繰り返し禁じられながら、例外や猶予によって続く経緯も扱います。法令の存在だけでは住民の待遇を説明できないという、制度と実際の隔たりが具体的に浮かび上がります。
統治者、アウディエンシア、市参事会、司教と修道会の関係は、任命、贈物、縁故、裁判権の争いを通して描かれます。拘禁された若者の引渡しをめぐる衝突や、有力家同士の不和は、官職の配列だけでは分からない権力関係を伝えます。著者は官吏の行状を厳しく評価しつつ、年代記や市参事会の建白書を用いて個々の事件を再構成しています。
海岸部ではトルヒリョへの攻撃や私掠船の活動が、防衛力と行政判断の弱点を露呈させます。ホンジュラス湾の島々の住民移転、ベラパスやラカンドン方面への侵入、ペルーとの交易やグアヤキル産カカオをめぐる請願も取り上げられます。内陸の支配とカリブ海・太平洋の交通は別々の出来事ではなく、財政と安全保障を介して結び付いています。
食糧不足や先住民人口の減少に加え、王室祝祭への支出と大学講座の設置も記されるため、本巻は統治者交代の年代記を超えて都市生活と教育の成立を考える材料となります。王への忠誠を示す儀礼と、地域で学問を教える場の整備が、ともに都市の公的な活動として現れます。先住民保護や人物の功罪に対する判断はミリャの歴史叙述として読むべきであり、公文書が伝える制度上の規範と、住民の日常そのものとは区別されます。
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『中央アメリカ史』第三巻は、ミリャの事業を継承したゴメス・カリーリョが、十七世紀末から十八世紀前半のグアテマラ王国を描く巻です。巻頭の概観は一六八六〜一七四八年を掲げ、各章では統治者の交代、王室命令、地方の事件を年代順に組み合わせます。アウディエンシアと上級統治機関の文書庫を主要な根拠とし、王令集や訴訟記録の所在を示す姿勢が、この続編の資料的な特徴になっています。
初期の叙述では、ペテンとラカンドンの征服計画、遠征隊の編成、統治者と地方官の衝突が扱われます。さらにグアテマラ市の民兵による拘禁者救出の騒動や、貢納廃止の噂が先住民社会へ広まる事件を通じて、支配の内部にも不安定さがあったことが示されます。王権の命令を伝える役人自身が紛争の当事者となり、司法と統治を一体として運用する難しさが繰り返し現れます。
一七一七年前後の災害と都市の危機では、被災者をとどめるための援助や、修道会による仮設住居の提供が記されます。政治的権限の争いと並び、住民の避難、居住の維持、都市の再建が統治上の課題となっています。著者は王室祝典や追悼の言説にも目を向け、君主への賛辞の中に過度の追従を読み取るなど、文書の表現そのものにも批評を加えます。
地方史では、コスタリカの貧困とカカオによる取引、マティナへの攻撃、イギリス人の交易とモスキート勢力の活動、ホンジュラス沿岸の防衛の記述が詳しくなっています。サン・サルバドルの産業、チアパのコチニール生産、ニカラグアの織物や職人技術も取り上げ、王国の各地を同じ発展段階にある一枚岩としては描きません。道路や雨季の困難は、遠隔地へ命令と軍隊を届ける条件として現れます。
教育や生業に関する記述には、トマス・ゲイジ、フアロス、ガルシア・ペラエスらの先行著作も用いられます。公文書に基づく行政史と、先行年代記から集めた社会の描写が重なる点に本巻の厚みがあります。ただし「進歩」や人物の善悪を測る基準は著者の時代のものであり、特に先住民と沿岸勢力への評価は、記録した事実関係と分けて検討する必要があります。
第IV巻の詳細概要 第IV巻の詳細概要を閉じる
『中央アメリカ史』第四巻は、一七四八〜一七六八年を主要な範囲として、十八世紀中葉のグアテマラ王国の行政と社会を記述します。大きな戦争や統治者の交代だけでなく、官職の給与、地方の管轄、郵便、都市の治安、救貧事業などを取り上げ、植民地統治が日常の仕事としてどう営まれたかを示します。グアテマラを中心に、ニカラグア、ホンジュラス、チアパなどの事情が章ごとに交差します。
官吏の任用と職務の適否をめぐる議論では、長年の海軍勤務から地方行政へ移った人物の請願、地方官の俸給、総督による航行許可の濫発、寵臣の登用とそれへの異議などが記されます。国王、アウディエンシア、財政官、司法官が同じ政策を一様に支持するわけではなく、権限と利益の違いが対立を生みます。先住民に課される奉仕や巡察の際の運搬・食料供給も、この行政運営の負担として扱われます。
道路と交通に関する部分は、雨季に悪化する陸路、北岸に到来する船の少なさ、ベラクルスを経由する通信を取り上げます。遠隔の本国と地方を結ぶ連絡の遅さは、単なる地理的背景ではなく、判断と実施の間隔を左右する条件となります。ホンジュラスの民兵組織や有力者への将校職授与を通じては、軍事的防衛と地域社会の序列が重なり合う様子が見えます。
都市史としては、犯罪者を追跡する街区区分、民兵の治安活動、救貧院建設の計画とその財源が重要です。市有資金や蒸留酒専売収入をどの事業へ充てるかという議論は、都市の公益を誰が定義し負担するのかを示しています。アンティグアへの愛着を語る箇所では、制度の記録に著者の歴史的感情も重なります。
終盤の大きな主題は、イエズス会の影響力とグアテマラ王国からの追放です。ヨーロッパでの追放に至る背景、学問上の貢献、政治的非難、他の聖職者との関係を併せて論じます。カルロス三世の改革への評価や対外政策への批判にも、著者の進歩観が表れています。王令や意見書が示す具体的な制度史と、修道会や統治者に対する歴史家の判断を往復して読むことで、改革期の社会を多面的に捉えられます。
第V巻の詳細概要 第V巻の詳細概要を閉じる
『中央アメリカ史』第五巻は、一七六八〜一七八六年を対象とする刊行最終巻であり、グアテマラ市の大災害と移転、植民地行政の運用、カリブ海岸の軍事問題を柱としています。原著の標題は独立までを掲げていますが、実際の叙述は本巻の一七八六年で終わります。したがって独立運動史の完結編ではなく、十八世紀後半の王国が直面した都市再建と領土防衛の記録として位置付けられます。
前半では、地方の役職を務める階梯、アルカバラ徴収、官吏とその子弟の婚姻に対する制限などが記されます。公務と私的利害が結び付くのを防ぐ制度がある一方、地方官が先住民に不要な商品まで高値で購入させ、その代金をインディゴ加工の労働で支払わせる事例も示されます。規範上の公正さと実際の取引・労働関係の隔たりが、具体的な文書と人物を通して明らかになります。
本巻の中心的な事件は、旧グアテマラ市を襲った破壊と新市への移転です。崩壊に続く豪雨が商品、家具、絵画、書籍、文書を損ない、屋外へ逃れた住民を苦しめた様子から、新しい場所の選定へ叙述が進みます。水源の調査、水道の費用見積り、大司教や大学、宗教共同体への照会を詳しく扱い、都市移転が単一の命令では実現しない事業だったことを伝えます。
再建には、教会の建設費、王室の補助、聖職者の拠出、先住民の負担、被災した貧しい住民への住宅と金銭の援助が関わります。著者はこれらを財政と公益の問題として整理し、旧市の放棄から新しい共同生活の成立までを追います。さらにレアレホ、ソンソナテ、コスタリカの港を結ぶ取引を取り上げ、各地方の産物を交換することが繁栄の条件と考えられていた点も示します。
後半にはオモアの奪還と軍務・財務の再編、ガルベスの行動、ホンジュラスとニカラグアの沿岸社会が登場します。公的な手稿を重視する叙述である一方、統治者の勤勉さを称揚し、モスキート勢力を敵対的に描く評価も強く表れます。被災者支援の細部と軍事的な国家像を併せ持つ点が本巻の特徴であり、利用した行政記録と著者の価値判断の双方が、植民地末期の歴史像を形づくっています。
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- 原刊
- グアテマラ、「エル・プログレソ」印刷所/国立印刷所、1879–1905年
- 翻訳版
- 1735頁
- 日本語訳表紙
- 5点
- 原刊言語
- スペイン語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- José Milla y Vidaurre, Historia de la América Central, tomos I–II, Guatemala: Establecimiento Tipográfico de «El Progreso», 1879, 1882; Agustín Gómez Carrillo, Historia de la América Central, tomos III–V, Guatemala: Tipografía Nacional, 1895, 1897, 1905.
- 権利・利用条件
- 1879–1905年刊の原著・原刊はパブリックドメインです。Biblioteca Ludwig von Mises, Universidad Francisco Marroquín所蔵本を公開するInternet Archiveの各記録は「NOT IN COPYRIGHT」または「NOT_IN_COPYRIGHT」と表示しています。本版には同館所蔵本の原刊標題紙5点を収録しています。第5巻索引の欠落補完に用いたGoogle由来別本は文字照合に限り、その画像は収録していません。
- 各分冊の底本・公開条件
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第I巻
中央アメリカ史 第一巻
Historia de la América Central, tomo I
- 原刊
- グアテマラ、「エル・プログレソ」印刷所/国立印刷所、1879–1905年
- 構成
- 1502–1541年・1879年刊・PDF 398頁
- 底本
- José Milla y Vidaurre, Historia de la América Central, tomos I–II, Guatemala: Establecimiento Tipográfico de «El Progreso», 1879, 1882; Agustín Gómez Carrillo, Historia de la América Central, tomos III–V, Guatemala: Tipografía Nacional, 1895, 1897, 1905.
- 権利・利用条件
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第II巻
中央アメリカ史 第二巻
Historia de la América Central, tomo II
- 原刊
- グアテマラ、「エル・プログレソ」印刷所/国立印刷所、1879–1905年
- 構成
- 1542–1686年・1882年刊・PDF 371頁
- 底本
- José Milla y Vidaurre, Historia de la América Central, tomos I–II, Guatemala: Establecimiento Tipográfico de «El Progreso», 1879, 1882; Agustín Gómez Carrillo, Historia de la América Central, tomos III–V, Guatemala: Tipografía Nacional, 1895, 1897, 1905.
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第III巻
中央アメリカ史 第三巻
Historia de la América Central, tomo III
- 原刊
- グアテマラ、「エル・プログレソ」印刷所/国立印刷所、1879–1905年
- 構成
- 1687–1737年・1895年刊・PDF 286頁
- 底本
- José Milla y Vidaurre, Historia de la América Central, tomos I–II, Guatemala: Establecimiento Tipográfico de «El Progreso», 1879, 1882; Agustín Gómez Carrillo, Historia de la América Central, tomos III–V, Guatemala: Tipografía Nacional, 1895, 1897, 1905.
- 権利・利用条件
- 1879–1905年刊の原著・原刊はパブリックドメインです。Biblioteca Ludwig von Mises, Universidad Francisco Marroquín所蔵本を公開するInternet Archiveの各記録は「NOT IN COPYRIGHT」または「NOT_IN_COPYRIGHT」と表示しています。本版には同館所蔵本の原刊標題紙5点を収録しています。第5巻索引の欠落補完に用いたGoogle由来別本は文字照合に限り、その画像は収録していません。
第IV巻
中央アメリカ史 第四巻
Historia de la América Central, tomo IV
- 原刊
- グアテマラ、「エル・プログレソ」印刷所/国立印刷所、1879–1905年
- 構成
- 1738–1759年・1897年刊・PDF 315頁
- 底本
- José Milla y Vidaurre, Historia de la América Central, tomos I–II, Guatemala: Establecimiento Tipográfico de «El Progreso», 1879, 1882; Agustín Gómez Carrillo, Historia de la América Central, tomos III–V, Guatemala: Tipografía Nacional, 1895, 1897, 1905.
- 権利・利用条件
- 1879–1905年刊の原著・原刊はパブリックドメインです。Biblioteca Ludwig von Mises, Universidad Francisco Marroquín所蔵本を公開するInternet Archiveの各記録は「NOT IN COPYRIGHT」または「NOT_IN_COPYRIGHT」と表示しています。本版には同館所蔵本の原刊標題紙5点を収録しています。第5巻索引の欠落補完に用いたGoogle由来別本は文字照合に限り、その画像は収録していません。
第V巻
中央アメリカ史 第五巻
Historia de la América Central, tomo V
- 原刊
- グアテマラ、「エル・プログレソ」印刷所/国立印刷所、1879–1905年
- 構成
- 1760–1786年・1905年刊・PDF 365頁
- 底本
- José Milla y Vidaurre, Historia de la América Central, tomos I–II, Guatemala: Establecimiento Tipográfico de «El Progreso», 1879, 1882; Agustín Gómez Carrillo, Historia de la América Central, tomos III–V, Guatemala: Tipografía Nacional, 1895, 1897, 1905.
- 権利・利用条件
- 1879–1905年刊の原著・原刊はパブリックドメインです。Biblioteca Ludwig von Mises, Universidad Francisco Marroquín所蔵本を公開するInternet Archiveの各記録は「NOT IN COPYRIGHT」または「NOT_IN_COPYRIGHT」と表示しています。本版には同館所蔵本の原刊標題紙5点を収録しています。第5巻索引の欠落補完に用いたGoogle由来別本は文字照合に限り、その画像は収録していません。
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第I巻
中央アメリカ史 第一巻
398頁第II巻
中央アメリカ史 第二巻
371頁第III巻
中央アメリカ史 第三巻
286頁第IV巻
中央アメリカ史 第四巻
315頁第V巻
中央アメリカ史 第五巻
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