アンティグア・グアテマラ年代記の表紙

書籍

CRÓNICAS DE LA ANTIGUA GUATEMALA · 1894

原題Crónicas de la Antigua Guatemala

アンティグア・グアテマラ年代記

1894年刊・日本語全訳

Agustín Mencos Francoアグスティン・メンコス・フランコ

アンティグア・グアテマラを中心に伝わる植民地時代の逸話や伝承を集めた作品です。修道士の奇跡、総督と教会の争い、恋愛、幽霊、災害などを題材とし、19世紀の政治や社会への風刺を交えて語ります。1894年グアテマラ刊本を底本としています。

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アグスティン・メンコス・フランコが、アンティグア・グアテマラを中心に伝わる植民地時代の逸話と伝承をまとめた作品集です。著者は序文で、口伝えの話が忘れられつつあり、それを記した植民地時代の歴史書も一部の学識ある人々以外には読まれなくなったと述べ、消えかけた伝承を忘却から救うことを執筆の目的に挙げています。「年代記」という題名ですが、出来事を年ごとに網羅する通史ではなく、人物、聖像、病院、街路、寺院などに結びつく物語を、一篇ずつ読ませる構成です。

収録篇には、総督が聖母マリアを牢に入れたという話、ベツレヘム地区からネズミが消えた次第、メルセスの聖母像の傷の由来、異端審問所と聖パスクアル・バイロン、幽霊やあの世からの便りなどがあります。奇跡、怪異、恋愛、復讐を題材にしながら、総督、アウディエンシアの役人、修道士、町の住民の振る舞いを描きます。地震の際に町の当局者や教会関係者が集まる場面のように、都市の制度や儀礼が物語の背景として現れることもあります。奇妙な筋立ての中に、古都で人々が何を恐れ、何を崇敬し、どのような噂を交わしたかが織り込まれています。

ペドロ修道士とベツレヘム会に関わる話もまとまっており、「ペドロ修道士の肩掛け籠」「ベツレヘム病院の犬」「ペドロ修道士のトカゲ」などを収めます。病院や修道者の慈善活動が、動物や身近な品物をめぐる伝承と結びつく点が特徴です。その一方で、宗教的な逸話をひたすら敬虔に紹介するのではなく、聖職者や権力者の行動を皮肉る語りも見られます。ランデチョとバリリャス将軍を並べる篇や、異端審問を光の敵として描く篇には、植民地時代の話を19世紀の政治・社会への批評へ結びつける姿勢が表れています。

本書の特色は、古い記録や口承を素材にしながら、読者への呼びかけやユーモアを通して過去を身近な物語へ作り直していることです。個々の奇跡や怪異をそのまま史実とみなすのではなく、古都の記憶がどのような人物像、場所、信仰と結びついて語り継がれたかを読む資料として位置づけられます。グアテマラの都市伝承、宗教文化、歴史を題材とする文学を横断する一冊です。

伝承年代記グアテマラ中央アメリカスペイン語アグスティン・メンコス・フランコアンティグア・グアテマラ植民地期文学

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原刊
Guatemala: Tipografía El Comercio, 1894.
翻訳版
136頁
図版・挿図
0点
原刊言語
スペイン語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Agustín Mencos Franco, Crónicas de la Antigua Guatemala, Guatemala: Tipografía El Comercio, 1894.
権利・利用条件
1894年刊の原著本文は著作権保護期間を満了しています。デジタル資料の提供元はCSIC/Biblioteca Americanista de Sevillaです。Simurgの書誌・IIIFメタデータには利用条件としてCC BY-NC-SA 4.0が示されています。利用条件:https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/
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更新日

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