書籍
HISTORY · 1917
原題History of the Spanish Conquest of Yucatan and of the Itzas
スペインによるユカタンおよびイツァ征服史
マヤ諸国の形成からタヤサル陥落まで・1917年初版 日本語全訳
マヤ・イツァ諸国の形成、モンテホ父子によるユカタン征服、フランシスコ会士の布教遠征、アベンダーニョの旅行記、1697年のタヤサル陥落を扱うミーンズの歴史研究。初版の前付、本文1-206頁、付録、文献一覧、原注50点、図版7点を省略なく収録しています。
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フィリップ・エインズワース・ミーンズが、スペインによるユカタンとイツァの征服を、先住民側の政治的背景と複数の遠征記録から再構成した研究です。マヤとイツァの征服以前の歴史に始まり、十六世紀のユカタン征服、十七世紀の布教遠征、タヤサルの陥落へと進みます。ユカタンの征服を一度の軍事行動で完了した出来事とせず、地域ごとの支配と抵抗、宣教、交通路の開拓が長く続く過程として捉えられる構成です。
前半ではマヤパン同盟や諸都市の支配家系、バタブなどの地位、相続と統治の仕組みを概観します。続いて最初期のスペイン人遠征、フランシスコ・デ・モンテホ父子の活動、フランシスコ会士の到来を扱い、征服者への指示や先行年代記を材料に、軍事と宣教の役割を論じます。著者が先住民の政治組織をヨーロッパの王と男爵になぞらえる箇所は、当時の比較の方法を示す一方、その社会を理解するための著者の説明枠であることにも注意が必要です。
後半の中心は、イツァの地域へ到達しようとしたフエンサリダとオルビタ、ディエゴ・デルガド、アンドレス・デ・アベンダーニョらの遠征です。宣教師と軍の関係、派遣をめぐる判断、移動の困難、現地での交渉を追い、ユカタン側とグアテマラ側からの働きかけを結びつけます。アベンダーニョの最初の試みと第二回遠征は詳しく取り上げられ、タヤサル征服に至る直前の状況を考える重要な材料となっています。遠征ごとに道筋と目的が異なる点を追えるのが本書の特色です。
付録では綴字法、ユカタンの古地図、アベンダーニョの旅程と地理情報を検討し、本文の歴史叙述を地名と経路の問題から補います。文献一覧や注は、著者がどの記録を組み合わせたかを確認する手掛かりです。ただし、記録の多くは征服者や宣教師の側から作られており、抵抗した人びとの意図をそのまま復元できるわけではありません。編年や古代社会の説明にも研究当時の仮説が含まれます。引用された証言、地図の情報、著者の再構成を区別しながら読むことで、征服の政治史だけでなく、歴史家が移動記録と地理を照合して事件のつながりを確かめる作業もたどれる著作です。
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- 原刊
- マサチューセッツ州ケンブリッジ、1917年
- 翻訳版
- 267頁
- 図版・挿図
- 7点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Philip Ainsworth Means『History of the Spanish Conquest of Yucatan and of the Itzas』Papers of the Peabody Museum of American Archaeology and Ethnology, Harvard University, Vol. VII(Cambridge, Massachusetts、1917年)。
- 権利・利用条件
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