書籍
THE HISTORY OF YUCATAN · 1854
原題The History of Yucatan, from Its Discovery to the Close of the Seventeenth Century
ユカタン史
発見から十七世紀末まで・1854年初版 日本語全訳
ユカタンの発見・征服から、植民地統治、宣教、ラカンドン・チョル地方への遠征、1697年のタヤサル征服までを記した歴史書。1854年ロンドン初版の前付、全21章、付録A–E、原注215件、折込地図に加え、所蔵本に合綴されたジョン・マレー社の書目広告32頁も省略なく収録しています。
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ファンコートが、ユカタンの発見から十七世紀末までをまとめた歴史書です。初期の海上探検、コルテスのホンジュラス行軍、モンテホ家による征服、植民地統治と宣教、さらにラカンドン・チョル地方への遠征と一六九七年のタヤサル征服を扱います。ホンジュラス湾の商人やマホガニー伐採者へ献じられており、十九世紀の英領沿岸社会の読者に、周囲の半島の初期史を示す意図がうかがえます。
序盤ではコロンブスの航海に続き、コルドバとグリハルバの遠征、カトチェ、カンペチェ、チャンポトン、タバスコなどでの接触をたどります。コルテスの長い行軍では、先住民の地図、橋の建設、食糧不足、道案内、兵士の不満を描きます。戦争だけでなく、未知の地形を集団で移動する困難が重要な要素となり、ユカタンの歴史がメキシコとホンジュラスの征服に連なることが示されます。
イツァの伝承やスペイン人の到来を予告したとされる言葉を紹介し、その権威への疑問も検討します。モンテホの征服では、進出と後退、救援の遅れ、長期にわたる停滞を追います。征服後に奴隷の解放が命じられ、補償が問題となる場面などは、軍事的な支配の成立後にも、労働と財産をめぐる対立が続いたことを伝えています。
後半の主舞台は、グアテマラとユカタンの間に残された内陸部です。宣教師の訪問、像の破壊をめぐる対立、捕縛や遠征、町々への改宗の勧めが続き、カネクへの書簡やタヤサルをめぐる行動へ至ります。宗教の説得とスペイン国王への服従が並べて求められ、宣教と軍事的な統合が同じ地域へ向けられたことを、個々の事件を通して読むことができます。
コゴリュード、ゴマラなどの先行文献を多く引用し、原注と付録によって叙述の根拠を示す一方、先住民を「野蛮」と呼ぶなど当時の評価も残ります。引用元の宣教者の判断と、十九世紀の編著者による整理は区別して読む必要があります。本書は長期間の征服を見渡せる通史であり、沿岸の接触から内陸の最後の独立勢力への侵入へ至る地理的・政治的な変化を、文献に基づいて追うための著作です。
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- 原刊
- ロンドン、1854年
- 翻訳版
- 359頁
- 図版・挿図
- 4点
- 原刊言語
- 英語・スペイン語・フランス語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Charles St. John Fancourt『The History of Yucatan, from Its Discovery to the Close of the Seventeenth Century』(London: John Murray、1854年初版)。
- 権利・利用条件
- 原刊本文はパブリックドメインです。デジタル複製の利用条件は、公開元の当該項目に表示された権利情報を基準とします。公開画像は日本語版へ転載していません。
- 公開日
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