書籍
CÓDICE CHIMALPAHIN · AUTÓGRAFO · I
原題Sumaria relación de todas las cosas que han sucedido en la Nueva España…
ヌエバ・エスパーニャ諸事略報
自筆稿 f.1r–81v・世界創造からスペイン人到来まで 日本語全訳
世界創造と四つの時代、トルテカ人の移住・王統・滅亡、ショロトル以後のチチメカ諸侯、テツココ王統、スペイン人到来と征服までを叙述する自筆稿。後代刊本で均されてきた作品境界、見出し、folio順、抹消・欄外追記・欠損の注記を保持し、Códice Chimalpahin第1巻 f.1r–81vから全訳しています。
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イシュトリルショチトルが、世界の創造からトルテカ、チチメカ、テツココの王統を経て、スペイン人の到来と征服へ至る歴史を叙述した自筆稿です。『チマルパイン絵文書』第一巻の冒頭部分に伝わり、神話的な時代、移住、領有、王位継承、戦争、法令が一つの歴史の流れを形づくります。メシコの支配だけを中心にした通史ではなく、アコルワとテツココの王統を重要な軸として、諸勢力の関係を描いているところに特色があります。
初めに世界創造と四つの時代、住民の起源に触れ、トルテカ人の伝承から知り得ることを述べます。トゥーラの建設、歴代王の生涯、王を立てる秩序と儀礼、滅亡へと叙述が進みます。先住民の年名とキリスト教の紀年を対応させ、教皇、ローマ皇帝、スペインの君主の在位も並べる箇所があり、土地の伝承を世界史の共通の時間へ置こうとする試みが見えます。こうした年代の対応は著者の歴史構成の一部であり、伝承の確定年代そのものと同一視はできません。
チチメカ諸侯の部分では、ショロトルの到来と入植、領地の配分、アコルワ人の登場、ノパルツィン、トロツィン、キナツィン、テチョトララツィンらの継承をたどります。テソソモク、マシュトラとの対立、ネサワルコヨツィンの遍歴と法令は、正統な王権が危機を越えて回復される物語を構成します。親族でありながら貢納しない領主、国境の警戒、湖のカヌーを用いる戦いなど、支配の関係は単純な上下だけではなく、具体的な交渉と軍事行動のなかで示されます。
スペイン人の到来とテツココ入城に続く記述には、王統の子孫である自分たちまで貢納を課されたという訴えが現れます。過去の王たちの事績を保存することは、植民地社会における子孫の身分と権利を主張することにも結びついています。本書の「正統」「簒奪者」といった評価は、その立場を反映する言葉として読む必要があります。神話、系譜、政治史、同時代の要求を分けつつ関連づけると、先住民系知識人が伝承をスペイン語の歴史へ編成し、征服後の世界で意味を持たせようとした作業が分かります。テツココを軸に、古代の記憶と植民地の現実が接続する著作です。
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- 原刊
- ヌエバ・エスパーニャ、1600年頃、自筆稿(未刊)
- 翻訳版
- 179頁
- 図版・挿図
- 1点
- 原刊言語
- スペイン語・ナワトル語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Fernando de Alva Ixtlilxóchitl『Sumaria relación de todas las cosas que han sucedido en la Nueva España, y de muchas cosas que los Tultecas alcanzaron y supieron…』自筆稿、Biblioteca Nacional de Antropología e Historia所蔵 Códice Chimalpahin、第1巻 f.1r–81v。
- 権利・利用条件
- フェルナンド・デ・アルバ・イシュトリルショチトルの原著本文は著作権保護期間を満了したパブリックドメイン資料です。本文の転記・校合に用いたINAH公開のCódice Chimalpahin自筆稿画像はCC BY-NC-ND 4.0で提供されていますが、本版には当該自筆稿画像を転載していません。各冊に収録した別系統の絵文書・初期刊本図版については、原所蔵機関、デジタル提供元、個別の権利表示・利用条件を冊内に明記しています。
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