書籍
CÓDICE CHIMALPAHIN · AUTÓGRAFO · V
原題Historia de la nación chichimeca
チチメカ民族史
1640年頃自筆稿 f.1r–143v・献辞・読者への序・本文 日本語全訳
世界創造とトルテカ人の時代から、ショロトルの入植、アコルワ=テツココ王統、ネサワルコヨトルとネサワルピリ、スペイン人到来、テノチティトラン包囲までを叙述する大部の自筆稿。後代版の再配列を退け、末尾の挿入紙を f.140v→142v→142r→141v→141r→143r→143v の論理順で提示し、Códice Chimalpahin第2巻 f.1r–143vから全訳しています。
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イシュトリルショチトルの『チチメカ民族史』は、世界の創造とトルテカの時代から、ショロトルの入植、アコルワ=テツココの王統、スペイン人の到来、テノチティトラン包囲までを叙述する大部の歴史書です。メシコを唯一の中心とする物語ではなく、テツココの王家と諸侯の関係を重視します。系譜、戦争、政治的な判断、王の徳や失敗を通して、アコルワの歴史的な位置と権威を示そうとする作品です。
初期の叙述では、トルテカの終焉と新しい集団の移動、支配領域の形成が語られます。ショロトルに始まる統治者の系列は、王権がどのように受け継がれ、婚姻や同盟、争いを通して広がったかを説明します。創造の伝承と政治史が連続しているため、神話的な時間と、具体的な日付や場所を伴う出来事とは同じ性格の情報ではないことに注意して読む必要があります。
ネサワルコヨトルの生涯は大きな柱です。迫害と逃亡、山野の遍歴、協力者との出会い、王国の回復、他の君主との戦いと和解が詳しく描かれます。家族や親族が異なる勢力に分かれる場面からは、王位の争いが個人間の競争だけでなく、都市と地域社会を巻き込んだことがわかります。王の知恵と行動を称える逸話も多く、出来事の配列そのものが理想的な統治者像を形づくっています。
後継のネサワルピリとその後の争いを経て、物語はスペイン人の到来へ移ります。モテクソマの拘束、カカマの反発、イシュトリルショチトルの行動、コルテスと諸都市の関係が、先住民側の分裂と交渉を含めて叙述されます。テノチティトラン包囲へ向かう過程でも、地形を知る人々の案内、軍の移動、同盟勢力の働きが重要であり、征服をスペイン人だけの事績にはしていません。
一方、コルテスへの称賛や特定の王を暴君とする評価には、著者の立場と王統の正当化が表れます。人名の呼称、系譜、演説、日付の対応を読み合わせることで、過去を保存することと、現在の権利や名誉を支えることが結びついているとわかります。本書は征服以前から植民地社会への断絶だけでなく、テツココの記憶が新しい政治秩序の中で語り直される過程を知るための重要な歴史叙述です。
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- 原刊
- ヌエバ・エスパーニャ、1640年頃、自筆稿(未刊)
- 翻訳版
- 319頁
- 図版・挿図
- 1点
- 原刊言語
- スペイン語・ナワトル語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Fernando de Alva Ixtlilxóchitl『Historia de la nación chichimeca』自筆稿、Biblioteca Nacional de Antropología e Historia所蔵 Códice Chimalpahin、第2巻 f.1r–143v。
- 権利・利用条件
- フェルナンド・デ・アルバ・イシュトリルショチトルの原著本文は著作権保護期間を満了したパブリックドメイン資料です。本文の転記・校合に用いたINAH公開のCódice Chimalpahin自筆稿画像はCC BY-NC-ND 4.0で提供されていますが、本版には当該自筆稿画像を転載していません。各冊に収録した別系統の絵文書・初期刊本図版については、原所蔵機関、デジタル提供元、個別の権利表示・利用条件を冊内に明記しています。
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