テツココ諸王の歴史綱要の表紙

書籍

CÓDICE CHIMALPAHIN · AUTÓGRAFO · III

原題Compendio histórico de los reyes de Tetzcoco

テツココ諸王の歴史綱要

1608年頃自筆稿 f.147r–214r・第一報告―第十三報告 日本語全訳

Fernando de Alva Ixtlilxóchitlフェルナンド・デ・アルバ・イシュトリルショチトル

諸民族の入植、巨人・トルテカ人、ショロトル以後の大チチメカ諸王、ネサワルコヨトルを中心とするテツココ王統、スペイン人到来と征服までを全十三報告で叙述する歴史綱要。自筆稿固有の章立て、異綴り、抹消・挿入・本文中断を保持し、Códice Chimalpahin第2巻 f.147r–214rから全訳しています。

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イシュトリルショチトルが、古い入植者の伝承からテツココの王統、スペイン人の到来と征服までを十三の報告で叙述した歴史綱要です。巨人、トルテカ人、ショロトルに始まるチチメカ諸王、ネサワルコヨトルと後継者を順に扱い、テツココを中心にメキシコ中央部の過去を描きます。メシカの首都だけを軸にした歴史とは異なり、アコルワの王家とその政治的な役割が前面に出ています。

ショロトルの移住は、北方から多くの人々を率いて新しい土地へ入る過程として語られます。王の称号とその意味、血統、入植の順序、領域の取得が、後の支配の正当性を説明する要素になります。先住民の年の呼称をキリスト教世界の年代へ対応させる記述もあり、古い歴史をスペイン語圏の読者に理解できる時間のなかへ位置づけようとする姿勢が見えます。

ノパルツィン、トロツィン、キナツィン、テチョトララツィンらの王統に続き、ネサワルコヨトルを中心とする政治史が展開します。継承、婚姻、領主の忠誠、反逆と処罰は繰り返される主題です。トルテカの王位継承をめぐる争いなども、血統上の近さと実際の権力が必ずしも一致しないことを示し、王国の盛衰を支配者間の関係から説明します。

征服を扱う部分では、コルテス軍を支えたアコルワの兵とイシュトリルショチトルの活躍が詳しく記されます。湖上・市街での戦闘、道路や橋をめぐる作業、食糧の不足、メキシコ市に集まった死者と病人の描写などを通じ、戦争の規模と惨状も伝えます。さらに征服後の遠征やホンジュラスへの行軍へ続き、カネクとの接触や、先住民領主たちが人員と食糧を提供する場面が現れます。

本文が同盟軍を「我らの者」と呼び、福音の到来を肯定的に位置づける点は、著者が先住民の系譜とキリスト教・スペイン支配を結びつけて歴史を語ることを示します。王家の功績を強調する叙述は、全勢力に等しく距離を置く記録ではありません。巨人や民族の起源の伝承、戦闘の細部、王統の主張をそれぞれの性格に応じて読むことで、征服後の先住民系知識人が、自らの祖先の位置を大きな歴史のなかで確保しようとした著作として理解できます。

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原刊
ヌエバ・エスパーニャ、1608年頃、自筆稿(未刊)
翻訳版
147頁
図版・挿図
1点
原刊言語
スペイン語・ナワトル語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Fernando de Alva Ixtlilxóchitl『Compendio histórico de los reyes de Tetzcoco』自筆稿、Biblioteca Nacional de Antropología e Historia所蔵 Códice Chimalpahin、第2巻 f.147r–214r。
権利・利用条件
フェルナンド・デ・アルバ・イシュトリルショチトルの原著本文は著作権保護期間を満了したパブリックドメイン資料です。本文の転記・校合に用いたINAH公開のCódice Chimalpahin自筆稿画像はCC BY-NC-ND 4.0で提供されていますが、本版には当該自筆稿画像を転載していません。各冊に収録した別系統の絵文書・初期刊本図版については、原所蔵機関、デジタル提供元、個別の権利表示・利用条件を冊内に明記しています。
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