グアテマラ旧王国史のための覚書の表紙

書籍

HISTORICAL MEMOIRS · 1851–1852

原題Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala

グアテマラ旧王国史のための覚書

初版全3巻・標題紙・目次・本文・注・表・総索引・正誤表・購読者名簿 日本語全訳

Francisco de Paula García Peláezフランシスコ・デ・パウラ・ガルシア・ペラエス

グアテマラの先住民社会、征服、植民統治、教会制度、交易、都市、教育・学芸を、著者が収集した年代記・公文書・刊行物を用いて叙述した19世紀の三巻本。初版の標題紙、目次、本文、注、表、総索引、正誤表、購読者名簿まで収録しています。

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ガルシア・ペラエスによる三巻本『グアテマラ旧王国史のための覚書』の第一巻は、先住民社会の概観から征服と植民地統治の形成へ進みます。冒頭の十節では、住民の起源、古代の諸王国、都市と建造物、農業、技芸、学問、交易、娯楽を取り上げます。征服以前の社会を背景として示したうえで、グアテマラの発見と侵攻、征服、州の区分、スペイン人の植民を叙述し、旧王国の歴史がどのような条件から出発したかを探っています。

本論では征服者の遠征だけでなく、先住民への虐待と人口減少が繰り返し論じられます。コルテスとアルバラードの活動、征服者の請願、新法、ラス・カサスとマロキンの関係などを通じて、軍事的支配、王権の統制、教会の介入が交錯する状況を示します。人口減少には独立した章が続けて置かれ、植民地成立を成功の物語だけで捉えるのでなく、その社会的な負担と破壊を史料によって確かめようとする姿勢が現れています。

行政制度の成立も本巻の大きな柱です。境界地方アウディエンシアの設置、その廃止と再設置、長官セラート、コレヒドールの配置、先住民集落の集住化、土地所有が順に扱われます。市参事会への書簡や司法上の決定を用い、地方官設置に対する抵抗や免除の消滅をたどる記述は、制度が一度の命令で完成したわけではないことを示します。ラカンドン方面への遠征やペルーへ向かったキニョネスの活動など、王国の歴史は周辺地域との往来のなかにも位置づけられます。先住民集落の再配置と土地所有を並べて扱う点は、支配の転換を行政組織の変化だけでなく、人びとが住み、耕作する空間の変更として考える手掛かりにもなります。

著者は年代記、公文書、刊行物を集め、個々の記録から行政区分や出来事の順序を確認しようとします。そのため本巻は、後世に書かれた通史であると同時に、当時利用できた史料の内容を伝える集成でもあります。先住民の起源をめぐる説明、征服者や聖職者への評価、記録の空白から導かれる結論には、著者の時代と立場を読み取る必要があります。以後の巻が交易、財政、海岸防衛、宣教、学芸へ議論を広げるのに対し、第一巻は征服と初期植民地制度、土地と人口の再編を重点として、旧王国の社会的な土台を描き出しています。

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三巻本『グアテマラ旧王国史のための覚書』第二巻は、第四十四章から、植民地社会を維持した地方行政、課税、交易、海上交通、防衛、貨幣制度を詳しくたどります。第一巻の征服と統治形成に続き、征服者の子孫、市長職の交替制、市参事会の消滅と復興を取り上げ、植民地の権力が誰に担われ、どのように継承・調整されたかを探ります。アルカバラ税の管理やパルドへの貢納、貢納の廃止も扱い、行政の変化を住民負担と結びつけています。

交易については、規制の原則だけでなく、個々の品物と航路をめぐる禁止、許可、障害が叙述されます。ペルー産ワインの禁止と再許可、南海航行の困難と廃止、北海航行、ハバナとの交易などが連続するため、グアテマラの経済を大西洋と太平洋の両側から見渡せます。交易を促す要求と、植民地間の流通を抑える政策が衝突する過程が、国王の命令、行政上の判断、地方の事情を通して浮かび上がります。単なる商品史ではなく、流通を制御する仕組みの歴史となっています。

海岸の安全保障を論じる章では、サン・フェリペ砦、サン・カルロス城、コスタリカへの侵攻、私掠船の活動、ベラパス沿岸への侵入、ガレオン船などが登場します。ユカタンとバリスにおけるイングランド人の滞在、ミスキート・サンボの敵対行動も扱われ、海外勢力と沿岸社会の関係が重要な位置を占めます。センダル人の反乱や諸州の知事の記録も挟まれ、沿岸防衛と内陸統治が同じ王国の課題として並べられます。貨幣と造幣局の章は、これらの活動を支える金融・財政の条件へ視野を広げます。各地方の事件を通じて王国全体の交通と財政を説明するため、中央の政策と周縁の生活条件を往復しながら植民地史を読む構成になっています。

叙述は年代記と行政文書を組み合わせ、制度の推移を細かな事件や人事とともに示します。船舶の構造や改造に費やされた費用などにも触れ、政策の意図と実際の運用能力の隔たりが見えます。ただし、敵対勢力や先住民集団に関する表現は、引用資料と著者の植民地史観を反映しており、その評価を事実の記録と分ける必要があります。本巻は、征服後の社会を静的な制度一覧としてではなく、課税、海運、地方政治、防衛の利害が絶えず調整される場として読むための、具体的な材料を豊富に提供しています。

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『グアテマラ旧王国史のための覚書』第三巻は、植民地経済の改革、周辺地域への宣教と入植、イギリスとの沿岸争奪、人口問題、教育と学問を中心に旧王国の歴史を展開します。第九十三章のサトウキビ蒸留酒専売に始まり、交易会社の設立計画とその進展を扱います。利益を生む制度を導入しようとする提案と、既存の仕組みが存続する過程が並べられ、植民地支配の後期における経済運営の課題が本巻の入口となっています。

タラマンカとベラグアでは、レコレト会士の進出、反乱、知事の提案、植民に関する王命、宣教師の護衛などを取り上げます。宣教は宗教上の活動だけでなく、集落形成、住民の統治、軍事的保護と密接に関係するものとして現れます。旧来の制度が再び優勢になる経緯を追う構成からは、計画と命令がそのまま現地に実現したわけではなく、異なる利害や抵抗のなかで修正されたことが読み取れます。王国の周辺を、統治の完成していない領域として検討する部分です。

海岸地域の章では、リオ・ティントとプンタ・ゴルダのイングランド人、交易の自由、ジェレマイアス・テリーとの交渉、オモアとサン・フアン城の喪失・奪回、ロアタン遠征、イギリスとの条約と撤退が続きます。また、ミスキートの知事の洗礼、宣教師の派遣、婚姻や帰順工作を扱い、外交、戦争、交易、宗教的交渉が重なっていたことを示します。沿岸の支配権は、地図上の境界だけでなく、船積み、要塞、現地指導者との関係を通して争われる問題として描かれます。とくに要塞の占領と回復、沿岸からの撤退を一連の動きとしてたどる章は、王国の外縁が交易と軍事の双方によって形づくられていたことを具体化します。

後半では先住民人口の減少が再び大きな論点となり、ラディーノの入植と集落、独立を保った先住民の状態、学問の状況へ議論が及びます。三巻を通して集められた公文書や年代記の引用は、王国の社会を軍事・行政史だけに限らず、人口と知的生活から捉える手掛かりとなります。一方、宣教や帰順を評価する語りは著者と史料の立場に属し、先住民側の経験をそのまま代弁するものではありません。第一巻の征服、第二巻の交易・統治を受け、本巻は改革と辺境支配の試み、それらを支えた社会的条件を考えることで、三巻本の見取り図を完成させています。

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原刊
グアテマラ、1851–1852年
翻訳版
1147頁
図版・挿図
0点
原刊言語
スペイン語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Francisco de Paula García Peláez, Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo primero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1851; tomos segundo y tercero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1852.
権利・利用条件
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各分冊の底本・公開条件

第I巻

グアテマラ旧王国史のための覚書 第一巻

Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo I

原刊
グアテマラ、1851–1852年
構成
1851年刊・第一章から第四十三章・PDF 368頁
底本
Francisco de Paula García Peláez, Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo primero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1851; tomos segundo y tercero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1852.
権利・利用条件
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第II巻

グアテマラ旧王国史のための覚書 第二巻

Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo II

原刊
グアテマラ、1851–1852年
構成
1852年刊・第四十四章から第九十二章・PDF 363頁
底本
Francisco de Paula García Peláez, Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo primero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1851; tomos segundo y tercero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1852.
権利・利用条件
原刊本文はパブリックドメインです。Internet Archiveの当該項目は「Possible copyright status: NOT_IN_COPYRIGHT」と表示しています。公開画像には当該項目と提供館の条件が適用されます。

第III巻

グアテマラ旧王国史のための覚書 第三巻

Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo III

原刊
グアテマラ、1851–1852年
構成
1852年刊・第九十三章以降・総索引・正誤表・購読者名簿・PDF 416頁
底本
Francisco de Paula García Peláez, Memorias para la historia del antiguo reyno de Guatemala, tomo primero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1851; tomos segundo y tercero, Guatemala: Establecimiento tipográfico de L. Luna, 1852.
権利・利用条件
原刊本文はパブリックドメインです。Internet Archiveの当該項目は「Possible copyright status: NOT_IN_COPYRIGHT」と表示しています。公開画像には当該項目と提供館の条件が適用されます。
公開日
更新日

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