書籍
DIARIO · 1577–1615
原題Diario
チマルパイン『日記』
BNAH MS 256B ff.17r–18v・BnF Mexicain 220 pp.1–282・1577–1615年 日本語全訳・訳注版
チマルパインが1577年から1615年までのメシコとヌエバ・エスパーニャの出来事をナワトル語で記した同時代日記。疫病、地震、洪水、宗教行列、教会・副王政・先住民共同体の動向に加え、ロドリゴ・デ・ビベロの帰還、セバスティアン・ビスカイノの日本渡航、慶長遣欧使節と日本人一行のメシコ滞在も収録します。
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チマルパインの『日記』は、一五七七年から一六一五年までのメシコとヌエバ・エスパーニャの出来事を、ナワトル語で記した同時代の記録です。年ごとの枠の中に、疫病、地震、洪水、教会の工事、宗教行列、役人の交代、共同体の争いなどが書き留められます。大きな政治事件と近隣で見聞きした出来事が並ぶため、植民地都市の生活を国家と日常の両側から読むことができます。
年の記載には先住民の年名とキリスト教の紀年が共存し、過去の統治者の死から経過した年数を数える記事もあります。現在の出来事を、征服以前の王朝の記憶から切り離さず位置付ける方法です。古いアルテペトルの名と新しい教会、王国の統治機構が同じ文章に現れ、複数の歴史的な時間が重なった都市の姿を伝えます。
宗教生活の記述では、サン・パブロ教会の敷地の縄張りと基礎工事、修道士の初ミサ、学院長や説教者、行列や信仰宣告式などが具体的です。聖職者への敬称と信仰の言葉は、著者自身がこの宗教世界に深く関わっていたことを示します。同時に、十字架を立てる場所が私有地なのか交差点なのかをめぐる証言のように、信仰の実践が土地の権利と衝突する場面も記録されます。
副王の儀礼と象徴、旗の使用、巡察や排水工事の視察は、統治が人々の目に見える形で現れる機会でした。洪水によって街路が途切れ、低い土地が水に浸かったという描写からは、都市の政治と水の管理が切り離せないことも分かります。著者は自分の見聞だけでなく、老いたスペイン人らの話も記しており、直接の観察と伝え聞いた評価が混在しています。
日本との交流に関わる記事には、ロドリゴ・デ・ビベロの帰還、セバスティアン・ビスカイノの日本渡航、慶長遣欧使節と日本人一行のメシコ滞在が含まれます。遠方の人々の到来も、教会、役所、市中の出来事と同じ都市の暦の中へ書き込まれています。日記は全社会を均等に説明する概説ではありませんが、何が著者の注意を引いたかという選択自体に価値があります。先住民知識人が植民地の首都と海を越える世界をどう記録したかを、具体的な日付の連続からたどれる作品です。
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- 原刊
- ヌエバ・エスパーニャ、1577–1615年、ナワトル語写本(未刊)
- 翻訳版
- 266頁
- 図版・挿図
- 0点
- 原刊言語
- ナワトル語・スペイン語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Domingo Francisco de San Antón Muñón Chimalpahin Cuauhtlehuanitzin『Diario』。主底本:Bibliothèque nationale de France, Département des Manuscrits, Mexicain 220, pp.1–282。冒頭補完:Biblioteca Nacional de Antropología e Historia, Colección Antigua, MS 256B, ff.17r–18v。Mexicain 220 pp.283–284の後代抜書は対象外。
- 権利・利用条件
- 16–17世紀の原著本文は著作権保護期間を満了したパブリックドメイン資料です。Gallica/BnF由来のデジタル画像は、非商用利用または学術・科学出版では「Source gallica.bnf.fr / Bibliothèque nationale de France」の表示を条件に無償で再利用でき、商用利用はBnFの許諾および利用料の対象となります。本版にはBnF画像、BNAH写本画像、Reyes García論文の図版、Tena校訂本文・スペイン語訳を転載していません。
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