書籍
A BISHOP AMONGST BANANAS · 1911
原題A Bishop amongst Bananas
バナナの中の主教
「仰ぎ見る」・1911年刊 日本語全訳
英国国教会主教ハーバート・ベリーが、英領ホンジュラスからグアテマラ、ニカラグア、コスタリカ、パナマ、ジャマイカへ赴いた巡察旅行を記した1911年刊の旅行記です。バナナ農園と鉄道、洪水・地震・火山、パナマ運河工事、各地の教会と社会を全16章で描きます。
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英国国教会主教ハーバート・ベリーが、英領ホンジュラスから中央アメリカ各地、パナマ、ジャマイカへ赴いた巡察旅行を語る紀行です。河川やキー諸島を小舟やスクーナーで移動し、奥地の教会を訪れ、礼拝や聖別式に加わる経験から、広大で移動の難しい教区を描いています。旅行中の景観や出来事と、教会の活動を支える人々への関心が、全16章を通して結びついています。
バナナ農園と鉄道は、題名にとどまらない重要な主題です。西インド諸島、とくにジャマイカから働きに来る人々の移動が、農園や港、教区内の共同体をつなぎます。小さな伝道拠点では教師が信徒奉仕者を兼ね、学校と教会が同じ建物を使うなど、現地の宗教生活の具体的な形が示されます。主教の巡察は、こうした離れた拠点を訪ねて関係を保つ営みとして描かれています。
地震と火山、長雨、洪水、地滑り、鉄道の路盤流失は、旅を妨げる背景であると同時に、人々の生活を一変させる出来事です。コスタリカのカルタゴの被害と救援の組織化などを通じ、通信と交通が断たれることの重みが伝わります。グアテマラの美しい景観やニカラグアでの危難を扱う章もあり、地域ごとの印象は、移動中に遭遇した不安や親切、宗教的な感情とともに記されています。
パナマでは復活日の経験と運河工事の見学が大きく取り上げられます。著者は巨大な土木事業の規模に感嘆しながら、完成後の国家的・国際的な影響や災厄の可能性にも思いを向けます。運河は技術の展示であるだけでなく、多数の労働者と異なる社会が集まる場として現れます。ジャマイカの教会再建を扱う部分と併せて、災害や大事業のなかで信仰共同体を維持する課題が見えてきます。
「白人と黒人」の章などには、英国植民地支配や人種関係についての著者の見解が明瞭に表れます。差別的な分類や、英国支配を肯定する評価は当時の主教の立場に属し、地域の人々すべての声を代表するものではありません。カトリック聖職者への批判にも教派的な視点があります。教会の巡察記録として読むとともに、バナナ産業、労働移動、近代交通がつくる社会を、英国の宗教者がどう理解したかを考えられる旅行記です。
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- 原刊
- ロンドン、Wells Gardner, Darton & Co., Ltd.、[1911年]
- 翻訳版
- 186頁
- 図版・挿図
- 19点
- 原刊言語
- 英語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Herbert Bury, A Bishop amongst Bananas, London: Wells Gardner, Darton & Co., Ltd., [1911].
- 権利・利用条件
- 原著および原刊図版はPublic Domain(PD-US-expired)です。University of California Libraries所蔵本をInternet Archiveがデジタル化し、Wikimedia Commonsは当該298頁PDFをPublic Domainとして公開しています。
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