書籍
LA GESTA DE ANASTASIO AQUINO · 2001
原題La gesta de Anastasio Aquino: una aproximación histórica
アナスタシオ・アキノの壮挙:歴史的一考察
2001年エルサルバドル工科大学版・日本語全訳
1833年にエルサルバドルのノヌアルコ地方で起きたアナスタシオ・アキノの反乱を、植民地秩序、中央アメリカ独立と連邦共和国、1832年の州政治、先住民社会と土地・労働制度の長期的背景から検討した歴史研究の全訳です。全4部、序文、用語集、参考文献、付録を収録し、原刊の章立て、段落、原注、表、図版、頁順を保持しました。
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本書は、一八三三年にエルサルバドルのノヌアルコ地方で起きたアナスタシオ・アキノの反乱を、植民地時代から続く社会関係の中で考察する歴史研究です。反乱の指導者の勇姿や最期だけに焦点を絞らず、先住民の共同体、土地と労働、中央アメリカの独立、連邦共和国と州政治を順に検討します。長い背景分析を経て事件へ進む構成により、個人の行動を生んだ条件と、後世に作られた人物像の両方を問います。
植民地社会の検討では、エンコミエンダ、先住民村、生産活動と労働の編成、行政上の改革を扱います。カカオやトウモロコシなどの生産は、支配者が富を得る仕組みと住民が暮らしを維持する基盤の双方に関わります。著者は過酷な搾取が人口と生産を弱めたと論じ、独立前後の不満を一時的な政治混乱からだけでなく、長期の経済・社会関係から説明しようとします。
独立運動から連邦共和国へ進む部分では、一八一一年以後の政治的緊張、独立宣言、制憲議会、各政府の対立が整理されます。州の指導者と地方の住民が同じ目的で行動したとは限らず、行政官の取り締まりや地区の役職をめぐる争いが、政治参加の限界を示します。一八三二年の州政治を経て反乱へ接続することで、植民地秩序からの離脱が直ちに先住民の生活改善をもたらさなかったことを考察します。
ノヌアルコ地方の地理と歴史、アキノの人物像、蜂起の展開、最後の日々と死が、事件そのものを扱う柱です。歴史記述と文学的な肖像を並べるため、実際の行動と、英雄や反逆者として後に語られた像との違いにも注意が向きます。地域共同体の結びつきが行動を支えた一方、同じような境遇にあった他の先住民集団との連携が成立しなかったことも、著者の検討対象となっています。
結論は、アキノが経済・社会制度の変革を実施したと単純に断定するものではありません。農園や藍加工場の所有者と労働力との関係を脅かし、共同体の再強化を目指した可能性を論じます。この区別は、反乱の意義を称えながら、その達成と限界を具体的に考えるために重要です。人物伝、地域史、社会構造の分析を重ねることで、短期間の蜂起を長い歴史の問題として捉え直す著作です。
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- 原刊
- サン・サルバドル、エルサルバドル工科大学、2001年6月
- 翻訳版
- 210頁
- 図版・挿図
- 19点
- 原刊言語
- スペイン語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Jorge Barraza Ibarra, La gesta de Anastasio Aquino: una aproximación histórica, San Salvador: Universidad Tecnológica de El Salvador, junio de 2001。エルサルバドル工科大学機関リポジトリ収録版。
- 権利・利用条件
- UTEC機関リポジトリの書誌メタデータは本書をCreative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike 4.0 International(CC BY-NC-SA 4.0)で提供しています。本日本語版は同ライセンスに基づく翻案物として同じCC BY-NC-SA 4.0で公開します。再利用時は原著者Jorge Barraza Ibarra、原題、エルサルバドル工科大学、2001年、底本URLを表示し、非営利利用と同一条件での継承が必要です。改変内容はスペイン語から日本語への翻訳、原刊頁標識の付与、組版変更、原刊図版の切り出し・再配置です。ライセンス本文:https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/。
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