ユカタン革命史試論の表紙

書籍

ENSAYO HISTÓRICO · YUCATÁN · 1878–1887

原題Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán desde el año de 1840 hasta 1864

ユカタン革命史試論

1840年から1864年まで・改訂全3巻版 日本語全訳

Serapio Baqueiroセラピオ・バケイロ

1840年革命、メキシコ中央政府との関係、カスタ戦争、ユカタンとカンペチェの政争を1864年まで叙述したセラピオ・バケイロの歴史書。1878年、1879年、1887年刊の改訂全3巻版から、巻頭資料、全24章、結び、証拠文書、原注、各巻索引を収録しています。

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第一巻は、一八四〇年から一八六四年までのユカタンの政変を扱うバケイロの歴史書の起点であり、メキシコ中央政府との関係をめぐる争いから、カスタ戦争による危機へ至る過程を描きます。独立や連邦制をめぐる政治家の選択と、地方社会を巻き込む武装蜂起が別々の出来事ではなく、互いに影響する問題として叙述されます。巻末には協定、布告、抗議、和平交渉などの証拠文書を付します。

冒頭の政治史では、ユカタンが中央政府との結合をどの条件で受け入れるかが争点になります。自治の保障、駐屯部隊の構成、協定の承認と履行などが問題となり、メンデス派とバルバチャノ派の対立も重なります。メキシコからの分離と復帰は抽象的な国家理念だけで説明されず、兵力、財政、地域の権利をどう守るかという現実の交渉の中に置かれています。

一八四七年のテピチでの蜂起以後は、戦闘、町の焼き討ち、追撃、処刑や追放の記録が叙述の前面に出ます。セシリオ・チらの活動に対して政府が取った軍事的措置と、内輪の政争が同時進行したことが記されます。反乱の拡大は州の政治秩序を一層不安定にし、政府が味方と想定した勢力を含め、統制できない行動が地域全体へ及ぶ様子が描かれます。

戦況が悪化する中で、バジャドリードなどの放棄、チェネス方面の敗退、テカシュやティクル、イサマルの危機が続きます。ツカカブでの和平条約とその交渉中の軍事行動、スペインへの統治権提供を含む救援策の検討も扱われます。メリダとカンペチェへ集まる避難民の処遇にまで記述が及び、戦争の影響が戦場から都市の生活と政治判断へ広がったことを示します。

著者は政府側の軍を自軍として語り、先住民の行動を当時の支配層の語彙で評価しています。その叙述を現代の中立的な戦争像と同一視せず、付録の蜂起側の返書や和平文書と突き合わせることが重要となります。本巻は、国家との関係を調整する地域政治と、土地の社会を根底から揺さぶる戦争が交差し、首都放棄さえ検討される危機に至るまでを詳しく伝えています。軍事的な出来事を支える協定や布告が併載されるため、叙述された判断を当事者の文言へ戻って確かめられます。

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第二巻は、カスタ戦争によって存立の危機に直面したユカタン政府が、一八四八年半ば以後に軍事的な回復を進める過程を描きます。州内諸町の奪回から、バジャドリード、ティオスコ、サバン、バカラル方面の戦役へと叙述を進め、ミチェルトレナの遠征、チャン・サンタ・クルスの形成、ディアス・デ・ラ・ベガの軍政と一八五三年の革命へ至ります。第一巻の危機を受けた長期戦の実態が中心となります。

各章は時期と戦場を明示し、部隊の移動、陣地、交戦、捕虜や武器の獲得を積み重ねて戦況を説明します。先住民側が塹壕や音響を利用して相手を牽制する描写もあり、政府軍が一方的に領域を回復したという単純な展開ではありません。町の占領と保持、森に退いた相手の捜索、遠征の継続には、それぞれ異なる困難が伴うことが具体的な場面から伝わります。

ミチェルトレナの大規模な遠征と新しい戦役方式は、軍事上の転機として扱われます。チャン・サンタ・クルスの建設を叙述に含めることで、政府側の作戦が続く一方で、抵抗側にも新たな拠点が成立したことが見えてきます。戦争は一連の勝敗だけで収束せず、各勢力が兵力と地域的な基盤を再編し、対立を持続させる局面へ入っています。

政治・財政面では、ユカタンの連邦政府への復帰と、それに伴う援助や収入の問題が重要になります。補助部隊への未払いを口実とした外部からの侵攻情報、地方党派の活動、知事と委員の往復書簡などは、戦場外の不安を示します。国家への復帰は軍事支援を得る道であると同時に、州の要求を中央へ説明し、疲弊した財政の救済を求める交渉でもありました。

本巻でも著者は政府軍の視点から勝利と損害を評価し、先住民に対する当時の蔑視的な表現を用います。死者や捕虜の数を成功の証拠とする記述は、戦争の当事者に近い歴史叙述の性格を示しています。付録の論説と往復書簡を本文と比較すると、軍事的回復を称える語りの背後に、財政難、政敵の批判、中央政府との緊張が続いていたことを読み取れます。戦役の時期を区切る章立ては、ある地域の回復が別の地域での安定を必ずしも意味しなかったことを比較する助けとなります。

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第三巻は、ユカタンの戦争と革命を扱うバケイロの叙述を一八六四年まで進め、軍政、地方の政変、カンペチェとの分裂をめぐる争いを重点的に描きます。ディアス・デ・ラ・ベガの時代に始まり、州知事をめぐる対立や軍隊の宣言、中央メキシコの政治綱領への応答が重なります。カスタ戦争の継続を背景に、同じ地域の政治家・都市・部隊が互いに権力を争う複雑な経過をたどる最終巻です。

軍事行動の叙述では、指揮官会議の判断や進路の選択、部隊の経験が戦闘結果を左右する要因として説明されます。テカシュをめぐる局面では、どの相手を先に攻撃するかという議論と、著者によるその評価が示されます。先住民との戦争を続けてきた辺境兵の存在が、地方政争における軍事力にも関わり、対外的な防衛と内部の権力闘争の境界は明瞭ではありません。

カンペチェの運動とタクバヤ綱領の受容は、本巻を特徴づける主題です。特定の知事への反対が解消されても革命が終わらず、統治評議会の設置や新たな人物の排除へ向かう過程が論じられます。全国的な政治綱領は地方へそのまま適用されるのではなく、各派が自らの行動を正当化するために条件を付し、解釈し直す対象として現れます。

カンペチェとカルメン島の領域をめぐる公文書、パブロ・ガルシアやイリゴイェン、アセレトらに関わる宣言と私信は、分裂が行政区画の変更以上のものであったことを示します。追放された人物がメリダへ移り、再起のために他の対立を利用するなど、人的な結びつきが州境を越えて働きます。選挙の自由や人民の支持を訴える証言も、党派的な争いの中に位置づけられます。

巻内の証拠資料には、指揮官から部下への命令、戦死した有力者の名簿、兵舎を守った兵士の一覧などが含まれます。これらは政治綱領の抽象的な文言を、実際に動員され、死亡し、地域に記憶された人々へ結びつけます。著者の人物評価や作戦批判には立場がありますが、本文と私的・公式文書を対照することで、ユカタンとカンペチェの関係が形成される過程を多面的に検討できます。公式な命令と個人的な説得が隣り合う資料構成に、地方の政治が制度と人物関係の両方によって動く様子が表れています。

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原刊
メリダ、第1巻1878年・第2巻1879年・第3巻1887年
翻訳版
1255頁
図版・挿図
1点
原刊言語
スペイン語

SOURCE & PUBLICATION DATA

底本・公開情報

底本
Serapio Baqueiro『Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán desde el año de 1840 hasta 1864』改訂全3巻版(Mérida: Imprenta de Manuel Heredia Argüelles, 1878–1879; Tipografía de G. Canto, 1887)。
権利・利用条件
1878年から1887年刊のスペイン語原著はパブリックドメインです。British Libraryの書誌はOut of Copyrightと表示し、使用したデータセットにはPublic Domain Dedication and Certification/Public Domain Markが示されています。
各分冊の底本・公開条件

第I巻

ユカタン革命史試論 第一巻

Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán, tomo I

原刊
メリダ、第1巻1878年・第2巻1879年・第3巻1887年
構成
1840–1848年・1878年刊・PDF 504頁
底本
Serapio Baqueiro『Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán desde el año de 1840 hasta 1864』改訂全3巻版(Mérida: Imprenta de Manuel Heredia Argüelles, 1878–1879; Tipografía de G. Canto, 1887)。
権利・利用条件
1878年から1887年刊のスペイン語原著はパブリックドメインです。British Libraryの書誌はOut of Copyrightと表示し、使用したデータセットにはPublic Domain Dedication and Certification/Public Domain Markが示されています。

第II巻

ユカタン革命史試論 第二巻

Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán, tomo II

原刊
メリダ、第1巻1878年・第2巻1879年・第3巻1887年
構成
1848–1855年・1879年刊・PDF 456頁
底本
Serapio Baqueiro『Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán desde el año de 1840 hasta 1864』改訂全3巻版(Mérida: Imprenta de Manuel Heredia Argüelles, 1878–1879; Tipografía de G. Canto, 1887)。
権利・利用条件
1878年から1887年刊のスペイン語原著はパブリックドメインです。British Libraryの書誌はOut of Copyrightと表示し、使用したデータセットにはPublic Domain Dedication and Certification/Public Domain Markが示されています。

第III巻

ユカタン革命史試論 第三巻

Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán, tomo III

原刊
メリダ、第1巻1878年・第2巻1879年・第3巻1887年
構成
1855–1864年・1887年刊・PDF 295頁
底本
Serapio Baqueiro『Ensayo histórico sobre las revoluciones de Yucatán desde el año de 1840 hasta 1864』改訂全3巻版(Mérida: Imprenta de Manuel Heredia Argüelles, 1878–1879; Tipografía de G. Canto, 1887)。
権利・利用条件
1878年から1887年刊のスペイン語原著はパブリックドメインです。British Libraryの書誌はOut of Copyrightと表示し、使用したデータセットにはPublic Domain Dedication and Certification/Public Domain Markが示されています。
公開日
更新日

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