書籍
HISTORIA DE LA IGLESIA EN MÉXICO · 1921–1928
原題Historia de la Iglesia en México
メキシコ教会史
全5巻・1511–1910年
福音宣教以前のアナワクから、1511–1910年のメキシコにおけるカトリック教会の歴史をたどる全5巻です。ヌエバ・エスパーニャの教会組織、宣教、修道会と、独立後の教会を扱います。1921・1922・1924・1928年刊本を底本としています。
第1巻の詳細概要 第1巻の詳細概要を閉じる
マリアーノ・クエバス『メキシコ教会史』全五巻の第一巻で、1511~1548年の教会の起源と初期宣教を扱います。冒頭には研究の手引きと史料・文献の案内を置き、アナワクの諸民族と言語、宗教、スペイン人到来以前の福音宣教の可能性を論じます。続いて征服に宗教的な意味を見いだし、フランシスコ会、ドミニコ会、アウグスチノ会の活動を、先住民社会にキリスト教が導入される過程として叙述します。先住民の宗教を著者自身の信仰から評価するため、その用語や説明にはカトリックの歴史観が明瞭に表れています。
中心となる人物は、メキシコ司教フアン・デ・スマラガ、ミチョアカン司教バスコ・デ・キロガ、チアパス司教バルトロメ・デ・ラス・カサスらです。司教の生涯だけでなく、先住民保護官の職務と困難、司教区の設置と境界、教会と統治機構の交渉を関連づけます。修道士が従来の宗教施設や習俗にどう対処したかにも章を設け、宣教を説教や洗礼だけに限定せず、征服後の社会の再編という問題として扱います。テペヤクにおけるグアダルーペの出現は、著者が奇跡と認める出来事として詳述されます。
後半では、初期の異端審問、公教育、慈善施設、教会当局者の会議、殉教者へと対象を広げます。病院の説明には、患者の状態に応じた病室の配置や礼拝堂の位置といった施設の具体像も現れ、救済と宗教実践が結びついていたことを読み取れます。教会の組織が整えられる過程と、教育・医療・生活への関与を一続きに示す構成であり、制度史と社会史の双方に関わる内容です。
付録にはスマラガの書簡、告発、規則、王立インディアス評議会への上申書のほか、ラス・カサスや先住民貴族に関係する書簡などを収めます。本文で論じられた保護、支配、権限の問題を、当事者の文書と照合できる点が重要です。著者の歴史叙述と引用史料を読み分ければ、初期教会の活動だけでなく、それをメキシコ社会の形成と結びつけて評価しようとするクエバスの立場も検討できます。全巻を通じる教会史の方法と問題意識を示す導入巻です。
第2巻の詳細概要 第2巻の詳細概要を閉じる
1548~1600年を対象とし、征服直後に成立した教会の諸組織が、どのように定着し活動の範囲を広げたかを扱う巻です。第一巻の初期宣教と司教区創設を受け、司教団、大聖堂参事会、小教区聖職者、修道会、教会会議を個別に取り上げます。全体は、教会を支える機関の確立、1572年以降の新しい動き、16世紀の教会が生んだ成果というまとまりからなり、組織と人物、制度と信仰生活を組み合わせて構成されています。
前半では、植民者の道徳的な状態を論じたうえで、教会と国家の関係、最初の三回のメキシコ教会会議、各聖職者層の役割を検討します。フランシスコ会、ドミニコ会、アウグスチノ会については、その組織や性格、活動状況を比較し、先住民への宣教方法や社会問題への関与に目を向けます。ここでは、教えを伝える方法と、それを担う組織のあり方とが切り離されていません。地域に教会制度が根を下ろす際、司教、教区聖職者、修道会がどのような関係にあったかを読むことができます。
続く部分では、異端審問所、王立・教皇庁立メキシコ大学、イエズス会の到来と初期の施設、家族のキリスト教的形成、北部の宣教地を扱います。統治や裁判に関わる組織と、教育、家庭生活、辺境の布教が並べられ、著者が教会の働きを社会全体に及ぶものと捉えていたことが分かります。終盤には知的活動、聖職者と在俗信徒の伝記、聖フィリポ・デ・ヘススの生涯と日本での殉教を置きます。制度の説明が、著者にとって信仰の模範となる個人の事績へつながる構成です。
付録の未刊史料には、修道会や司教から国王への書簡、司祭への訓戒、婚姻の有効性に関する覚書、大学の要望、宣教師の死を知らせる報告などがあります。これらは、中央の制度についての説明を、地域の要望や日々の問題と結びつける手がかりになります。教会の活動を肯定的に評価する叙述には著者の立場が反映されていますが、制度、教育、宣教、家族、知的活動を同じ時代の中で比較できる点に、本巻の特色があります。16世紀後半のヌエバ・エスパーニャ社会を教会側から見渡す一巻です。
第3巻の詳細概要 第3巻の詳細概要を閉じる
1600~1699年のメキシコ教会を、組織された教会の制度と活動、北部の宣教、社会にもたらした成果という三つのまとまりから叙述します。前二巻が征服と初期制度の形成を扱ったのに対し、本巻では、都市に定着した教会と、なお拡張を続ける宣教地との関係が重要になります。聖堂建築、司教団、大学、修道会、慈善、学問、社会の信仰を同じ枠組みに置き、教会が17世紀のヌエバ・エスパーニャでどのような位置を占めていたかを描きます。
制度を扱う部分では、聖堂の建設と装飾、各司教区の司教と在俗聖職者、教会と国家の関係、異端審問所、大学と初期の神学校を取り上げます。イエズス会については、メキシコ市の学院や施設だけでなく、テポツォトラン、オアハカ、グアダラハラ、パツクアロなど各地の拠点を扱い、教育と地域的な展開を示します。プエブラ司教フアン・デ・パラフォックスとイエズス会の争いにも独立した論点を設け、教会内部の権限や組織の対立を叙述に組み込んでいます。
宣教の部分では、北西部と北東部を分け、テペワン地方の布教と反乱、タラウマラ、ヌエボ・レオン、タマウリパスなどを扱います。都市の聖職者や学校を中心とする前半に対し、移動、先住民との関係、宣教師の活動が前面に出ます。両者を続けて読むと、教会の制度的な安定と、宣教の現場で経験される不安定さとが同時に存在していたことを捉えられます。修道会の沿革だけでなく、活動地域の違いを意識した構成です。
最後に慈善、知的活動、社会の信仰と風俗を論じ、徳行に優れた聖職者や信徒、殉教者の伝記を掲げます。無原罪の御宿りを擁護する誓約のように、信仰が当局や団体の儀礼として表れる例も示されます。付録にはメキシコ大聖堂の設計・模型・建設に関する文書などを収め、建築史に関わる具体的な史料を提供します。教会の「実り」を強調する著者の評価と、施設・人物・文書の記録を読み分けることにより、17世紀の宗教制度、教育、芸術、地域社会を横断して検討できます。全五巻の中では、植民地教会の成熟した活動を詳しく示す巻に当たります。
第4巻の詳細概要 第4巻の詳細概要を閉じる
1700~1800年のメキシコ教会を扱い、制度や信仰の展開と、世紀後半の王権による政策の変化を対照させる巻です。全体は、組織された教会の制度と活動、宣教地、著者が「破壊」と名づける政治的な動きへと進みます。前巻に引き続き司教団や修道会を取り上げながら、グアダルーペ信仰、宗教美術、女子修道院、教皇庁への報告、イエズス会士の追放に大きな位置を与えていることが特徴です。
前半ではグアダルーペの聖母と美術を論じ、司教と在俗聖職者の活動、大聖堂の生活費や俸給などを示します。各司教区から教皇庁へ送られたアド・リミナ報告を取り上げ、メキシコ、オアハカ、チアパス、グアダラハラ、ユカタン、ドゥランゴなどの教会の状態を紹介します。個々の報告を通して、中央の制度だけでは見えない地域差や、司教が自らの管轄をどう説明したかに触れられます。従来の修道会、イエズス会、女子修道院、マリア・デ・ヘスス修道女、異端審問、知的活動と人物伝も、この部分に組み込まれています。
宣教地の記述では、ヌエバ・ビスカヤ、コアウイラ、ヌエボ・レオン、タンピコ、カリフォルニアなどを取り上げます。宣教師の困難や精神、殉教も扱い、辺境の活動を宗教的な使命として評価します。後半のイエズス会士の追放では、政策の実施と財産の扱い、追放された人々の移動やイタリアでの活動へ視線を広げます。教会の歴史が国内の制度史から、海外へ移された人々の経験へつながる点も、本巻の重要な内容です。
クエバスは王権の介入を宗教への打撃として強く批判し、王令を引用しながら自分の評言を差し挟みます。この叙述は、政策の中立的な一覧というより、教会を擁護する立場から18世紀の転換を解釈するものです。引用文書、制度や施設の記録、著者による政治的な評価を区別すると、同じ出来事が教会側にどう受け止められたかを具体的に読むことができます。次巻の独立後の政教関係に先立ち、植民地末期の教会と王権の緊張を示す巻であり、信仰・文化の充実と制度的な危機という著者の歴史像が最もはっきり表れる部分の一つです。
第5巻の詳細概要 第5巻の詳細概要を閉じる
全五巻の最終巻で、1800年から独立百周年の1910年へ至る教会と国家の関係を中心に叙述します。植民地の教会制度を主に扱った前四巻から、独立運動、共和国、自由主義改革、帝政、ポルフィリオ・ディアス期の政治へと重心が移ります。冒頭には政治体制や時期を理解するための年代資料を置き、その後を、独立まで、独立から改革まで、改革から百周年までという大きな区分で構成しています。
最初の部分では19世紀初めの聖職者と民衆を概観し、独立運動の宗教的な側面、運動の展開と独立の達成を取り上げます。独立を世俗的な政治変動だけで説明せず、信仰、聖職者、教会の立場を軸に読み直そうとする構成です。次に、独立直後の状況、フリーメーソンの起源、共和国最初の十年、1833年の改革をめぐる争いなどを扱います。教皇の回勅とされる文書も掲げ、国内の政争と教皇庁を含む広い宗教的関係を結びつけます。
中盤以降では、米国との戦争を前にした教会の立場、政権の移行、アユトラと聖職者の財産、1857年憲法、帝国の成立とその後へ進みます。教会財産や国家の権限は、制度上の変更だけでなく、著者が教会への攻撃と考える政治過程の一部として描かれます。終盤には知的活動の隆盛、レルド政権、ディアスの統治を取り上げます。政治的な対立を追う一方で、学問や文化の活動にも章を設け、教会の歴史を迫害の記録だけにとどめない構成になっています。
本巻を読む際には、事実の紹介、引用文書、クエバスの判断が緊密に結びついている点が重要です。章題や論評には、教会の側に立ってその活動と権利を擁護する姿勢が明瞭に表れます。また、本文には対象時期より後の事件や人物への言及もあり、独立百周年までの歴史が、執筆当時の宗教と政治をめぐる問題意識から解釈されていることが分かります。自由主義的な国家形成を教会側がどう語ったかを検討するためにも有用な著作です。全巻を通して読むと、征服後の宣教から始まった叙述が、近代国家の中での教会の位置をめぐる歴史へ到達することを確認できます。
EPUBは本文リフロー型です。読書アプリの画面幅・文字サイズ・縦横表示に合わせて組み替わります。
- 原刊
- Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1921–1924; El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928.
- 翻訳版
- 3938頁
- 1921年刊・教会史
- 474点
- 原刊言語
- スペイン語
SOURCE & PUBLICATION DATA
底本・公開情報
- 底本
- Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 1, Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1921. / Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 2, Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1922. / Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 3, Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1924. / Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 4, 3.ª edición, El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928. / Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 5, El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928.
- 権利・利用条件
- 原著本文・原図は著作権保護期間を満了しています。底本の公開元と権利情報は各巻に記載しています。
- 各分冊の底本・公開条件
-
第1巻
メキシコ教会史 第1巻
Historia de la Iglesia en México
- 原刊
- Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1921.
- 構成
- 第1巻・PDF 761頁
- 底本
- Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 1, Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1921.
- 権利・利用条件
- 原著者マリアーノ・クエバスは1949年没であり、1921年刊の原著本文・原図は日本および米国で著作権保護期間を満了しています。底本はInternet Archive公開スキャンです。参照した資料に個別のライセンス名は記載されていません。底本:https://archive.org/details/historiadelaigle01cuev。公開元の権利案内:https://help.archive.org/help/rights/。
第2巻
メキシコ教会史 第2巻
Historia de la Iglesia en México
- 原刊
- Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1922.
- 構成
- 第2巻・PDF 802頁
- 底本
- Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 2, Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1922.
- 権利・利用条件
- 原著者マリアーノ・クエバスは1949年没であり、1922年刊の原著本文・原図は日本および米国で著作権保護期間を満了しています。底本はInternet Archive公開スキャンです。参照した資料に個別のライセンス名は記載されていません。底本:https://archive.org/details/historiadelaigle02cuev。公開元の権利案内:https://help.archive.org/help/rights/。
第3巻
メキシコ教会史 第3巻
Historia de la Iglesia en México
- 原刊
- Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1924.
- 構成
- 第3巻・PDF 819頁
- 底本
- Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 3, Tlalpam, D.F. (México): Imprenta del Asilo «Patricio Sanz», 1924.
- 権利・利用条件
- 原著者マリアーノ・クエバスは1949年没であり、1924年刊の原著本文・原図は日本および米国で著作権保護期間を満了しています。底本はInternet Archive公開スキャンです。参照した資料に個別のライセンス名は記載されていません。底本:https://archive.org/details/historiadelaigle03cuev。公開元の権利案内:https://help.archive.org/help/rights/。
第4巻
メキシコ教会史 第4巻
Historia de la Iglesia en México
- 原刊
- El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928.
- 構成
- 第4巻・PDF 761頁
- 底本
- Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 4, 3.ª edición, El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928.
- 公開元
- Internet Archive公開スキャン。
- 閲覧情報
- Internet Archive公開の1928年刊第4巻(第3版)を底本としています。個別資料への恒久リンクは未確認です。
- 権利・利用条件
- 原著者マリアーノ・クエバスは1949年没であり、1928年刊の原著本文・原図は日本および米国で著作権保護期間を満了しています。底本はInternet Archive公開スキャンです。参照した資料に個別のライセンス名は記載されていません。個別資料への恒久リンクは未確認です。公開元の権利案内:https://help.archive.org/help/rights/。
第5巻
メキシコ教会史 第5巻
Historia de la Iglesia en México
- 原刊
- El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928.
- 構成
- 第5巻・PDF 795頁
- 底本
- Mariano Cuevas, Historia de la Iglesia en México, tomo 5, El Paso, Texas: Editorial «Revista Católica», 1928.
- 権利・利用条件
- 原著者マリアーノ・クエバスは1949年没であり、1928年刊の原著本文・原図は日本および米国で著作権保護期間を満了しています。底本はInternet Archive公開スキャンです。参照した資料に個別のライセンス名は記載されていません。底本:https://archive.org/details/historiadelaigle0tomo5unse_n5r7。公開元の権利案内:https://help.archive.org/help/rights/。
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第1巻
メキシコ教会史 第1巻
761頁第2巻
メキシコ教会史 第2巻
802頁第3巻
メキシコ教会史 第3巻
819頁第4巻
メキシコ教会史 第4巻
761頁第5巻
メキシコ教会史 第5巻
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